ツイッターで一発じゃんけんなるものが話題になっておりました。
数年前に開発した、5人以上でジャンケンしてもほぼ1発で勝負が決まる1発ジャンケンを記録として残しておきます。#1発じゃんけん pic.twitter.com/sxMSRka95e
— 三日月マンハッタン仲嶺 (@mikadukinakami) February 22, 2020
詳しいルールはこのツイートを見ていただければお分かり頂けますが、ここで簡単にルールを解説させて頂きましょう。
1)このじゃんけんは指で1から5までのいずれかを出す。
2)数字が誰かと被った人はその時点で負け。
3)残った人の中で、最も大きい数字を出していた人が勝ち。ただし1は5に勝つ。
非常に面白いゲームであり動画でも一発で勝負がつくことが話題になっていたのですが、このじゃんけんを見たときに私の中の秋山がこう語りかけてきました。
「このゲームには必勝法がある……」
正確に言えば必勝法ではなく致命的な構造欠陥なのですが、この構造欠陥がある限りこのゲームが今のじゃんけんのように普及することはないでしょう。
なぜならば、もしも普及してしまったらじゃんけんが運否天賦の勝負ではなく、知略に長けるものが勝利を手にしてしまうのです。
最も簡単な必勝法 3人のパターン
一発じゃんけんの最大の問題点。
それはズバリ「参加者が結託することで、ゲーム性が崩壊する」ということで御座います。
例えばこんな状況を考えてみましょう。
3人の男性が夕飯にどこに行くかで揉めています。
このとき、2人がラーメン屋、1人が焼肉に行きたいとしましょう。
もしもこの3人が公平かつフェアに行動しているのであれば一発じゃんけんであろうと、普通のじゃんけんであろうと問題は御座いません。
しかしこのラーメン派の2人が結託した場合、一発じゃんけんには致命的な問題が生まれてしまうのです。
なぜならばラーメン派の2人が「1」と「5」を出した時点で、焼肉派の敗北が確定してしまいます。
つまりラーメン派の2人があらかじめ結託して「1」と「5」を出すと約束しておけば、絶対にラーメン屋に行くことが出来るのです。
焼肉派が5を出した場合→5があいこになるので1の勝ち
焼肉派が4を出した場合→5が勝ち
焼肉派が3を出した場合→5が勝ち
焼肉派が2を出した場合→5が勝ち
焼肉派が1を出した場合→1があいこになるので5の勝ち
ラーメン屋派が2人、焼肉屋派が1人なので、公平な勝負をするのであればラーメン派が66%、焼肉派が33%で勝利をしなくてはなりません。
しかし一発じゃんけんの場合、ラーメン派が100%勝つことが可能なのです。
特に酷いのが5人対4人という構造になった9人の場合でしょう。
この場合、5人の派閥の方はそれぞれが1から5までを出すことで必勝となります。本来であれば5/9、つまり56%程度しかなかったはずの勝率を100%に出来てしまうというのはあまりにも公平さにかける勝負であると言わざるを得ません。
必勝法がある時点で終わり
もちろんこのような結託をする方は決して多くはないでしょう。
たとえこの必勝法に気がついていたとしても、実際の勝負でこの方法を使うとは限りません。必勝法があることを知っていて、それでもなおフェアに戦う方が多いことと思います。
しかし、実際に必勝法を使うかどうかということはさほど重要では御座いません。
「必勝法がある」という時点ですでに問題なのです。
なぜならば仮にこの必勝法を使わなかったとしても、「必勝法を使わなかった」ということを証明するのが非常に困難であると言わざるを得ません。そのためフェアに戦って勝ったとしても「もしかしてあらかじめ談合したんじゃないのか?」という疑念がつきまとい、勝者も敗者もその結果を素直に受け入れることが出来ないのです。
一方で普通のじゃんけんの場合、1対100という構造で100人が結託しても、その1人を100%封殺することは出来ません。
こうして考えるとやはり普通のじゃんけんはゲームとして優れていることがわかります。伊達にあの何十年も姿を変えていないわけではないのです。