【ご質問】
上野さん初めまして!
私は社会人3年目の25歳女です。
彼氏との結婚でご相談があります。
今の彼氏とは1年前から付き合っていて、最近では結婚の話題もちらほらと出ています。
これまで喧嘩らしい喧嘩もありませんでしたので、結婚しても上手くいくと思うのですが、1つだけ問題があります。
彼は私の25歳上。50歳なのです。
子どもを産む気はお互いにないので問題ないのですが、親や友人からはやはりやめておけ、と言われることが多いです。
私は年上の大人っぽい男性が好きですし、話もとっても合う彼と結婚をしたいのですがやはり年の差がある相手との結婚は難しいのでしょうか?
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
まず客観的な意見として、カップルや夫婦は年齢差があればあるほど上手くいかない可能性が高いのは間違い御座いません。
これは統計的にも明らかな事実であり、この点については疑う余地はないでしょう。
同い年の結婚が最も離婚率が低く、年齢が離れれば離れるほど離婚率は急激に増加致します。今回のご質問者様は25歳差ということで御座いますが、20歳以上年齢の離れた夫婦は同い年の夫婦と比較して95%も離婚する確率が高いのです。
とは言え、同い年で離婚する夫婦もいれば、30歳離れているにも関わらず仲睦まじい夫婦もいらっしゃいますので、年の差婚が絶対に悪いとは申し上げません。
あくまでも統計データとして「年の差婚は離婚率が高い」というだけの話であり、その傾向がご質問者様にも該当するとは限らないのです。
ところで客観的データとして「年齢差」が離婚の遠因になっていることは間違い御座いませんが、それでは一体何故”年齢差”は離婚率を上げてしまうのでしょうか?
年齢と共に変わる価値観
人間の価値観は人それぞれで御座いますが、ある程度の傾向というものは間違いなく存在致します。
例えば「健康」についての価値観について考えてみましょう。
一般的に10代や20代で健康について真剣に悩んでいる方はおりません。自分の体はすこぶる健康でしょうし、生活習慣病について悩むような場面もないことでしょう。
ですが大抵の人間は30代に差し掛かって来る辺りから健康面で問題を抱え始めます。生活習慣病になる方も決して少なくありませんし、徹夜が出来なくなるなど自分の体力の衰えを感じ始めるものでしょう。
健康問題が身近な問題になることで、多くの人間は「健康」に対しての価値観を変えることになるのです。
これまでのように無頓着でいることは出来ず「塩分控えめ」というフレーズに反応する「健康志向」な価値観へと変化をするので御座います。
もちろん個人差は御座いますが、年齢によってどのように価値観が変化するのかということはある程度傾向が決まっていると言えるでしょう。
さて、それでは「年の差婚」における価値観の相違について話を戻させて頂きます。
今回のご質問者様は25歳上の50歳男性と結婚をお考えのようですが、彼氏様と価値観は合っていらっしゃいますか?
仕事に対しての価値観、お金に対しての価値観、恋愛に対しての価値観、交友関係に対しての価値観、子供に対しての価値観、趣味に対しての価値観。
もしも彼氏様と価値観が全く合っていなかったら、ご質問者様は結婚したいと望まなかったでしょうから、彼氏様とある程度価値観は合っていることと思います。
しかし25歳の女性と50歳の男性の価値観が一致するというのは、通常あまり考えられることでは御座いません。
合わなくて当然。ちょうど倍の人生を歩んでいるのです。
それなのに「話が合う」と仰っていることがどうしても気になってしまいました。
子供と遊ぶ大学生
私が中学生の頃に通っていた塾のK先生のお話をさせて頂きたく思います。
当時14歳の私にとって、K先生は非常にフレンドリーで友人のように接してくれる先生で御座いました。
漫画の話をすればK先生もその漫画を読んでいて話が盛り上がり、最近のニュースについて語れば、同じような意見を先生も語ってくれたのです。
さて、そんなK先生と一昨年、再会する機会に恵まれました。
私が26歳。K先生は30代中盤に差し掛かっていたことでしょう。
11年ぶりの再会だと言うのに、K先生はあの頃と何も変わらず、接してくれました。
そう、何も変わっていなかったのです。
最後に会った11年前から、先生は何も変わっていませんでした。
未だにアルバイトのまま、同じ塾で働いていて、未だに同じような漫画を読み、中学生が考えそうな理論で政治を否定していたので御座います。
K先生の時間は止まっていました。
中学生の頃の私にとって「話の分かる大人」であったK先生は、失礼を承知でいうと「中学生に毛の生えた程度の価値観の持ち主」でしかなかったのです。
実は再会する前から、こうなるのではないかということはある程度予想をしていました。
私が中学を卒業し高校生になる頃には、すでに「よくよく考えるとあの先生の理論は子供っぽいのではないか」と考えるようになっておりましたし、大学生になり塾講師のバイトを始めた頃には、その疑念は確信へと変わっていました。
例えばK先生は授業中に雑談をすることが御座いましたが、それは授業をすることでお金を貰っている塾講師のすることでは御座いません。
宿題を出すこともほとんど御座いませんでした。それもまた塾講師としては問題のある行動でしょう。
そして何よりもK先生の授業は受験を意識していなかったのです。
生徒からは「優しい先生」とちやほやされるかも知れませんが、それは大人の対応では御座いません。
K先生は14歳の生徒と話が合ってしまうほど、価値観が幼かったのです。
「22歳大学生塾講師」と「14歳中学生生徒」では年齢も立場も全く異なります。
本来、年齢も立場も違う私とK先生は、価値観が合ってはいけないのでしょう。「サボりたい」と駄々を捏ねる私に対して、K先生は「受験生なんだから勉強しなくちゃダメだよ」と注意をする大人でなければならなかったのです。間違っても「だよねーぶっちゃけ国語の受験勉強とか意味なくない?センスでしょ」と言ってはいけませんでした。
そして26歳になり社会に出た私は、すでに「中学生の価値観」を失っていました。
中学生の頃に憧れだった先生は、大人になった今、幼い価値観の持ち主でしかなかったのです。
3人の先生
私が中学生の頃に通っていた塾の先生を3人紹介させて頂きましょう。
1人目は先ほど紹介させて頂いたK先生。
2人目は女子生徒から大人気だったS先生。
3人目は生徒人気が低めのH先生で御座います。
S先生は大学生のアルバイト講師。兄貴キャラで顔もよく、女子生徒からの人気は抜群で御座いました。
大人と中学生の間に立つ存在として生徒を引っ張っていってくれるような先生だったと思います。私たちの考えにある程度同意してくれるものの「お前たちの気持ちも分かるけど、ここは勉強しとこうぜ!」と方向性を正していてくださいました。
幼かった私は「結局、勉強しろって言うのか……」と思っておりましたが、極めてまともな大人の先生だったことでしょう。私たちの価値観まで目線を下げてくれるものの、きちんと大人の価値観も持っている素晴らしい先生で御座いました。
H先生は社会人の塾講師。正直、生徒からの評判はあまりよくなかったと思います。
生徒が塾に残って遊んでいれば厳しく注意をされていましたし、宿題忘れなどにも厳しい方でした。
しかし今にして思えば、塾という職場の空気を引き締めていた先生だったと思います。
K先生 | S先生 | H先生 | |
年齢 | 22歳(大学生) | 22歳(大学生) | 30代中盤(社会人) |
当時の印象 | 話が合う! 判ってくれる! 大人の余裕! | イケイケな兄貴分 カッコいい 憧れのお兄さん | 口うるさい 俺の気持ち判ってない 厳しい |
精神年齢 | 中学生+α | 普通の大学生 | 普通の社会人 |
今思えば…… | 精神年齢が近く、友達感覚な先生。 | 生徒のために話を合わせてくれていた先生。 | 大人として塾が遊び場にならないように律していた先生。 |
当時の私はK先生を最も身近な存在として感じていました。
しかしそれはK先生の精神年齢が中学生に近かっただけなのだと思います。
フレンドリーに接してくれているものの「生徒に合わせている」S先生や、生徒に厳しく接していたH先生は、精神的に大人だったからこそ私は身近な存在に感じることが出来なかったと言えるでしょう。
S先生は生徒を好きにならない
女子生徒からも人気のあったS先生は、大学に可愛い彼女がいたそうです。
実際に彼女様のお顔を見たことは御座いませんが、どう考えてもモテる先生でしたので、きっと素敵な彼女さんがいたことでしょう。
そんなS先生は女子生徒から非常にモテていたのですが、S先生が特殊な性癖(ロリコン)でない限り、S先生が女子生徒のことを恋愛対象として好きになることはないかと思います。
何故ならばS先生はあくまでも「生徒に話を合わせている」だけなのです。つまり生徒側は「話が合う!」と感じているかも知れませんが、S先生からすれば「自分が合わせなければ、全く話が合わない相手」でしかありません。
皆様が7歳くらいの子供と話すような状況を考えてみて下さいませ。
彼らが「最近これが学校で流行ってるんだよ!」と言えば「凄いねー面白そう」とでも相槌を打つことと思いますが、それはあくまでも「話を合わせているだけ」であり、本気で「凄い」と思っているわけではないでしょう。
恋愛において、価値観の一致は極めて重要なポイントで御座います。
しかし、そんな子供に対して「価値観が一致する!」なんて思うことは御座いません。ですので子供に対しての庇護欲や母性本能のような感情を抱くことこそあれ、価値観は一致しないので恋愛対象にはならないのです。
世代順位を気にすべき!
ご質問者様の彼氏様は25歳上の50歳。精神的にも肉体的にも、ご質問者様よりはるかに大人であるのは当然でしょう。
しかしこれだけ年齢が離れてしまうと、同世代の下の方の男性であってもご質問者様より精神的に大人びているのは当然の話なので御座います。
小学校1年生で50mを10秒台前半で走る子供はそこそこ俊足で御座いますが、小学校6年生で9秒台であればどちらかと言えば遅い方に分類されてしまうのと同じでしょう。
確かに彼氏様は精神的にかなりご質問者様より大人びているかとは思いますが、それは50mを9秒台で走っている小学6年生なのかもしれないのです。
小学1年生から見れば、50mを9秒台で走っている6年生は俊足ですが、6年生の中では「足が遅い」とバカにされているのかも知れません。
1年生なのに50mを10秒で走ることのできる水色の少年は、6年生になったとき50mを8秒中盤で走ることが出来るでしょう。
6年生なのに50mを9秒50で走る黄色の少年は近い将来、水色の少年に足の速さで負けてしまう可能性が極めて高いのです。
年齢差を考慮せず、目の前の数字だけで判断することがどれほど愚かかお分かり頂けるのではないでしょうか?
年上の男性に憧れる女性もまた、この状況と近い問題を抱えているかも知れません。
同世代の男性より、年上の男性の方が大人びているのは当然のことなのです。それで「年上が良い」と言ってしまうのは先ほどの50m走の例と変わりません。
重要なのは、実年齢と比較してどれほど大人びているのかということでしょう。
実年齢が50歳なのに、精神年齢が30歳の男性は精神的に未熟で御座います。
一方で実年齢と精神年齢の両方が20歳の男性は年相応。
どちらのほうが大人びているかと言えば、精神年齢と実年齢が一致している20歳の男性の方でしょう。
もちろん恋愛は精神年齢だけで決まるものでは御座いませんので全てを語ることは出来ませんが、「自分よりも大人びた相手が良い」という基準で相手を選ぶ場合、この点についてよくよく注意をしなければなりません。
余り物には”だいたい”福がない
今日、日本では生涯未婚率が急上昇しております。
しかしそれでも7割以上の男性は結婚をしていることからも、未だに結婚が多数派であることは間違い御座いません。
また男性の場合、年収と既婚率は比例しており、高年収の男性ほど既婚率が高いのです。年収だけで人間性が測れるわけでは御座いませんが1つの基準として参考になるのは間違いないでしょう。
当然といえば当然のことで御座いますが、良い男はそうそう残ってなどおりません。
本人が「絶対に結婚しない」という思想の持ち主であれば話は別で御座いますが、その場合、今こうしてご質問者様と結婚を望んでいることが矛盾してしまいます。
もちろん奇跡的な確率で「良い男」が残っている可能性も御座いますが、奇跡はやはり奇跡なのです。そうそう起こるものでは御座いません。
彼氏様はどうして50歳まで結婚をされなかったのでしょうか?
どうしてこれまで彼氏様の周りには、彼氏様と結婚を望む女性が現れなかったのでしょうか?
ご質問者様の結婚に反対するつもりは御座いませんが、そういった点について改めてお考え頂ければ幸いです。
もちろん結婚はこんな理屈っぽい話だけで決まるものでは御座いませんので、ご質問者様がされた決断を私も全力で応援させて頂きたく思います。