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「あなたが好き」という言葉を信じない人たち

【ご質問】

私は現在、職場恋愛をしております。

諸事情あって、私に恋人がいることは公にしているのですが、相手については秘密にしています。

ですが彼は、職場でも、私と二人きりのときでも、平気で私に他の男性を薦めてきます。

私が好きなのは彼なのだと伝えても、「錯覚だ」「何も考えずに楽しいのは今だけだ」と非常にネガティブで「もしもお前に本気で好きな相手が出来たら、絶対に手を離してやるから、迷わずいちばん最初に言え」などとまで言われています。

私が彼に対して本気ではないことが前提になっていて、とても心外でショックです。

彼は一体何を考えているのでしょうか。

彼は私にどうして欲しいのでしょうか。

上野さんのご意見をお聞かせください。

【回答】

ご質問誠に有難う御座います。

今回の彼氏様の態度は、テスト前に「全然勉強やってないよ」と言う学生に近いものがあるでしょう。

テスト前に聞いてもいないのに自分がいかにテスト勉強をしていないのかということを主張する。

そんな生徒がご質問者様の周りにもいらしたことと思いますが、彼氏様がやっていることはそういった生徒と構造的には同じで御座います。

それでは一体それがどのような構造なのかご説明させて頂きましょう。

セルフ・ハンディキャップ

テスト当日の朝を想像して下さい。

学校で友人から「テスト勉強やった?」と聞かれたら、皆様は何と答えるでしょうか?

よほど自信のある方を除けば、たとえ勉強を物凄くやっていたとしても「あんまり出来なかった」というように「勉強をしていない」という系統の返事をするのではないでしょうか?

何故ならば、人間はこの質問をされたときに「どっちと答えた方が得か?」ということを無意識に考えているからで御座います。

これは実際に勉強をしたかどうか、ということはあまり重要では御座いません。

友人

テスト勉強した?

 

それでは仮にテストの点が良かった場合を考えてみましょう。

もしも「勉強した!」と言っていた場合、ご友人様は「勉強をしたのだからテストの点数が良いのは当然だ」という判断をされることでしょう。

一方で「勉強していない!」と言っていた場合「勉強をしていないにも関わらず、テストの点数が良いなんて、あの人は物凄く頭が良いんだ」という判断を下します。

人間は基本的に「凄い」と思われたい生き物で御座いますので、テストの点数が良い場合「勉強していない」と答えたほうが得であることがお分かり頂けることでしょう。

一方でテストの点数が悪い場合はどうでしょうか?

「勉強してない」と言っていた場合、ご友人様は「勉強をしていないのだから、点数が悪いのも当然だ」という判断を下すことでしょう。

しかし、もしも「勉強をした」と言っていた場合、ご友人様は「勉強をしたくせにあの点数ということは、あいつは救いようのないバカだ」という判断をしかねません。

「勉強してないから点数が悪いのも当然だ」という評価も決して良いものでは御座いませんが、それでも「救いようのないバカだ」という判断をされるよりはマシでしょう。

つまりテストの点数が悪い場合でも「勉強をしていない」と返事をしておいた方が得なので御座います。

つまりテストの点数が良かろうと悪かろうよ「テスト勉強をあまりしてない」と返事をした方が、友人からの評価を良いものになるのです。

それならば自分が勉強したかどうかは関係なく「テスト勉強をあまりしてない」と回答をした方が得でしょう。だからこそ学生時代に「めっちゃ勉強したぜ!」と言っている生徒を見かけることはあまりないので御座います。

このようにダメだった時に「いやいや俺の能力のせいじゃなくて、勉強してないだけだから」というような保険をかけることをセルフ・ハンディキャップと言いますが、一見するとこの方法は合理的なものであるように思えるかも知れません。

テストの成績が良くても悪くても「勉強していないアピール」をした方が他人からの評価は高くなるのですから、「勉強してないアピール」をした方が得。

一体この考えのどこに問題があるのでしょうか?

言霊

セルフ・ハンディキャップの問題点の1つ目は「言葉は能力に影響を与える」という点で御座います。

これは様々な心理学の実験でも結果が出ていますが「出来ない」という言葉を口にしたり、人からかけられたりするとそれが能力に影響を与えてしまうのです。

つまり勉強をしていたとしても「自分は勉強をしていない(=テストの点数が良いはずがない)」ということを口にしてしまうと、本当に点数が下がってしまうのです。逆に言えば「俺はちゃんと勉強をした」と口にしたり本当に点数が上がる傾向がある。

日本的な価値観で言えば「言霊」と言ったところでしょう。

もちろん、あくまでも傾向であり、勉強しなくても「勉強した!」と言えば良いという話では御座いませんが、そういった傾向があるのは間違いありません。

 

先ほどの図を見てみましょう。

「勉強してない!」と言えば「1位」か「3位」の結果になり、「勉強をした!」と言うと「2位」か「4位」の結果になることが分かります。

しかし、その言葉を口にすることでテストの結果にも影響を与えてしまうということを考慮すると「勉強してない!*テスト◎」と「勉強した!*テスト×」が少数派であることが分かります。

つまり左上と右下に該当する人は極少数に限られて、右上か左下かという話になると言えるでしょう。

すると「勉強した!」と言えば2位の結果になり、「勉強してない!」と言うと3位の結果になることが分かります。こう考えると「勉強してない!」発言が何故悪いのかということがお分かり頂けるのではないでしょうか?

上野

話をわかりやすくするために少し極論をお話させて頂きましたが、ようするに「勉強してない!」的な発言をすると本当に点数が下がるからやめとけ という話で御座います。

不言実行

このようにセルフ・ハンディキャップは自分の能力を落としてしまう、という問題点もあるのですが、実はセルフ・ハンディキャップにはそれ以上に大きな問題が御座います。

それは先ほどの図の順位を考えると見えてくるでしょう。

  1. 【勉強してない】×【テスト◎】
  2. 【勉強した】×【テスト◎】
  3. 【勉強してない】×【テスト×】
  4. 【勉強した】×【テスト×】

セルフ・ハンディキャップが成立するためにはこの順番でメリットが大きく無くてはなりません。

しかし実はこの順位はあくまでも「言っている本人が思っているだけの順位」でしかなく、他人からの実際の評価はこの順位ではないのです。

そもそも「テストの点数悪かったけど、俺、今回は勉強してなかったから」などという言い訳で他人が納得するわけがありません。

こんな言い訳でも本人の自尊心は守られるかも知れませんが、逆に言えばそれしか守ることが出来ないのです。他人からの評価はこの言い訳で守ることが出来ません。

周囲の人は優しいので「バカな上に言い訳かよ……」と口にはしませんが、心の中ではそう思っているのです。

また、学校のテスト程度の話であれば大した問題では御座いませんが、現実社会では「勉強してない(=勉強していると言わない)のに結果は良い」というような「不言実行」的な行動は良いものでは御座いません。

確かに口に出さずに淡々と努力をすることはカッコいいかも知れませんが、組織の中で不言実行をする方は基本的に迷惑なのです。少なくとも有言実行な方と比較すると極めて無責任な行動であると言えるのです。

例えば営業マンで考えてみましょう。

Aさんが大手メーカーB社から契約を取るために、日夜営業をしていたとします。

Aさんが有言実行の人だった場合、彼は周囲の人たちに「僕がB社の契約をまとめます!」と宣言をして営業を行いますが、もしも彼が不言実行であれば周囲の人たちにそれを告げずに営業を行うことになるでしょう。

確かに不言実行であればある意味でサプライズのようなカッコよさが御座います。

ある日急に大手企業Bからの契約が取れた、という話が舞い込んでくるのですから、Aさんの上司は棚からぼた餅のような心境で大喜びすることでしょう。

しかし、これはカッコいいだけで全く責任のある行動では御座いません。

何故ならAさんが不言実行だと、他の社員がその企業に二重で営業をしてしまうというようなトラブルが発生する可能性が御座いますし、不言実行であればAさんは失敗をしても誰からも責められることが御座いません。逆にAさんが有言実行であった場合、他の社員はB社との契約が取れたときの準備をすることだって出来ますし、失敗した場合の責任の所在も明確で御座います。。

組織として行動する以上、有言実行こそが重要なのです。

「自分は責任を持って〇〇をするから、みんなはそれを前提にして行動をして欲しい」

人に宣言をすることは、自分の責任であることを明確にし、その仕事に責任を持つということ。そしてその宣言を信じ、周囲の方はそれに合わせた行動をするのです。

ある日突然大きな成果を持ってくるのは確かにカッコいいことでは御座いますが、それは嫌な言い方をすると「独断専行の無責任な仕事」でしかありません。

1人で働いている分にはそれでも良いでしょうが、組織で働いているのであれば「不言実行」よりも「有言実行」が評価されるのは当然のことなのです。

つまり現実社会では「勉強した!」ときちんと宣言をし、その上できちんと成果を出すことこそが最も重要であると言えるでしょう。

 

ちなみに「不言実行」というのは周囲に宣言をせずに仕事を成し遂げるという意味ではなく「グダグダ文句を言わずに手を動かす」という意味で御座います。

つまり自分のなすべきことをしっかりと相手に伝え、その上でグダグダ文句を言わずに働く方こそが真の意味で「不言実行」なのではないでしょうか?

なぜ好きという言葉を信じないのか?

それでは今回のご質問に戻らせて頂きます。

彼氏様がご質問者様の好意を本気ではないと思っているのは、テスト前に「全然勉強してない~」と言う生徒の心理とほとんど変わりません。

ご質問者様の本気度をテストの点数。

彼氏様の発言をテスト前の生徒の発言と入れ替えると今回の彼氏様の考えがご理解頂けるのではないでしょうか。

つまり彼氏様はテスト前の学生のように「俺、この恋愛別に本気だと思ってないから」と強がっているだけで御座います。

こう言っておけば、仮に振られても「俺も本気じゃなかったし」と言い訳が出来ますし、振られなければ振られないで「俺は本気じゃないのにちゃんと好かれる!」と思い込むことが出来るでしょう。彼氏様の目線ではどっちに転んだとしても、「俺は本気じゃないし」というスタンスでいた方が得だと思っているのです。

今回のご質問に対しての回答はここの部分だけでも十分ではあるのですが、私がわざわざ「セルフ・ハンディキャップ」についてお話をさせて頂いたのは、今回の彼氏様のように「私は本気じゃないし」というようなスタンスを取っている方に注意をさせて頂きたかったからで御座います。

「勉強してないし」と口にしてしまうと、本当にテストの点数が下がってしまうように、恋愛でもそういった発言をしていると本当に好きではなくなってしまいますし、また相手の好意も本当になくなってしまいます。

確かに「私は本気であなたが好き」と口にすることは勇気がいりますし、責任も生まれてしまうでしょう。

ですが、それを口にしなければ絶対に幸せな恋愛は営めません。

斜に構えて「本気じゃないし」というスタンスを取るのは楽かも知れませんが、おそらくそれは楽なだけで楽しいものではないでしょう。

ご自身の恋愛を本当に「本気じゃないもの」にしないためにも、くれぐれもご注意下さいませ。

1 Comment

通りすがり

この彼、ものすごく彼女さんが好きなのでしょうね。好きすぎて、めちゃくちゃカッコ悪い行動を取ってしまっていますが。精神年齢が中学生くらいですね…。
個人的には、それでも何とかハッピーな方向に向かっていってほしいなと思いました。

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