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人の話を真剣に聞けば聞くほど「話を聞いてない」と言われる問題

【ご質問】

私は人と話し合いをすると、相手の逆鱗に触れることが多くその原因が分から無いため今回メール致しました。

話し合い中、相手からよく「俺(私)の何をわかってるんだ!」と言われ喧嘩が始まります。私はその言葉の意味が分からずその後ギクシャクするという流れなのですが、後で考えた時に相手の嫌な所をついてしまったのかな?と思い「言い過ぎました。」と謝るのですが、相手には「貴方は思いやりがない。」と言われます。

私は無意識に上から目線な発言をしているのでしょうか?

はたまた、空気を読めない、思いやりのない冷たい人間なのでしょうか?

相手の逆鱗に触れない人はどのような工夫をして言葉を選んでいるのか気になります。

人との喧嘩やトラブルを減らしたいのに自分でその原因を作ってしまってどうしたらいいのかわかりません。

人から好かれる人、相談されやすい人はそこが長けているのだろうと思いますがその特徴も知りたいです。

【回答】

ご質問誠に有難うございます。

おそらくご質問者様は自分の言葉遣いや言い方に問題があるとお考えのことと思いますが、残念ながら根本的に考え方を変えない限り、ご質問者様は人の逆鱗に触れ続けてしまうことでしょう。

ご質問者様は大きな勘違いをされているので御座います。

その勘違いはご質問文の冒頭。「私は人と話し合いをすると」という部分で御座います。

話し合いをすると逆鱗に触れてしまうとご質問者様はお考えのことと思いますが、そもそもこの部分が重大な勘違いであると言えるでしょう。

ご質問者様が「話し合い」だと思っている会話は、相手にとって「話し合い」では御座いません。

4つの「話し合い」

ご質問者様は「話し合い」を「お互いに意見を言い合って、より良い回答を作り出すもの」とお考えのことと思います。

しかし、現実問題としてご質問者様が考える「話し合い」が出来る人間はほとんどおりません。一見すると「話し合い」のようでその実態は「話し合い」とは大きくかけ離れているので御座います。

それでは「話し合い」とされるものの実態とは一体どのようなものなのでしょうか。

1つ目は「最後通告」

「話し合い」という体こそ取っておりますが、相手は自説を曲げる気が一切ございません。こちらの意見をそのまま呑むか、もしくは決別かという二択を押し付けているので御座います。

このタイプの方の場合、ご質問者様がどんな形であれ意見を言った瞬間に相手の逆鱗に触れてしまうのは避けられません。相手は最初からご質問者様の意見を聞く気などないのです。相手が望んでいるのは「分かりました」という言葉だけで、それ以外の言葉は何を言っても相手の逆鱗に触れてしまうことでしょう。

2つ目は「現状報告」

これもまた「話し合い」という体を取っておりますが、そもそも結論を出す気が御座いません。自分の置かれている苦しみや辛さをご質問者様に伝えることだけが目的なので、建設的な意見など一切求めてはいないのです。

相手が求めているのは「そうだね」「分かる」という同意の言葉だけ。反論はもちろんですが、ご質問者様の建設的な意見すら相手は求めておりません。

3つ目は「注意」

これもまたまた「話し合い」という体裁を取っておりますが、目的はご質問者様の問題点を注意すること。例えば「遅刻者を減らすためにはどうすれば良いか」という体裁で話し合いをしているようで、実は「遅刻するんじゃない」と注意しているので御座います。

この場合、相手が求めているのは謝罪の言葉。「どうすれば遅刻が減ると思う?」という質問に「すいません、本当に私の怠惰が原因です」と回答するのは質問の答えとしては不適切ですが、相手を満足させるという意味では正解なので御座います。

そして4つ目がご質問者様が考えているような「話し合い」で御座います。

これはお互いに意見を出し合って、より建設的な結論を生み出そうとするもので御座いますが、現実的にこのような話し合いが出来る方は極めて少数に限られていると言わざるを得ません。

話し合いはだいたい最後通告

残念ながら人間が行う「話し合い」はそのほとんどが「最後通告」であると言えるでしょう。

ご質問者様の意見を聞く気なんて最初からさらさらないのです。相手はいかにして自分の意見を押し通すかということしか考えておりませんので、どんなものであれご質問者様が意見を言った時点で逆鱗に触れてしまうことでしょう。

しかも困ったことに最後通告型の話し合いをしている方の多くは、自分が最後通告をしているという自覚が御座いません。本人は「俺は相手の意見を聞く気がある」と思い込んでいるので御座います。しかし、実際のところ相手の意見を聞く気などさらさらなく、どんな意見を言っても「自分の意見を認めない反抗者」として怒り出しているので御座います。

人の話を聞けば聞くほど「聞いてない」と言われる

相手の話をきちんと聞いて、自分の頭で考える。

この行為は本来立派な行為であるはずで御座いますが、現実問題としてこれをすればするほど相手からは「話を聞いていない」と言われてしまうのは間違いありません。

「話を聞いていない」は多くの場合において「話を聞いていない」という意味ではなく「こちらが望んでいる回答を答えなかった」という意味なので御座います。

そして相手が望んでいる回答というのは、相手が言った言葉のままなので、ご質問者様が何かを考えた時点で、それは相手にとって「話を聞いていない奴」という扱いになってしまうことでしょう。

ご質問者様のように自分の頭で考えるタイプの方は、どう考えても誰よりも相手の話を真剣に聞いているので御座います。しかし相手はご質問者様の話を聞く気なんてさらさらありません。自分が望んでいる回答をしてくれない人間は、どんな回答だろうが「話を聞いていない奴」と判断してしまうので御座います。

ですので、ご質問者様が相手の話を真剣に聞けば聞くほど、ご質問者様は「話を聞いていない」と言われることでしょう。

「話を聞いてない」と言う人間の多くは、こちらの話を聞いていない人間なので御座います。

そのためご質問者様のような自分の頭で考えるタイプの方が「話を聞いていない」と言われないようにするためには、相手の話を聞くのを止め、「なるほど」「そうなんだ」「分かる」「だよね」と連呼しておけば良いでしょう。

議論が出来る人間なんていない

Twitterでは毎日のように愉快な議論が盛り上がっておりますが、きちんと議論になっているものがどれほどあるでしょうか。

大抵の場合、Twitterで行われている議論は「最後通告」の応酬で御座います。

しかしこれは何もTwitterの議論が低レベルであるというわけでは御座いません。人間とは本質的に議論が苦手な生き物なので御座います。

「自分の意見こそが正解である」と大抵の方は思っているのです。そして自分の意見が正解と思っているのですから、相手の意見は同意以外全て間違いと判断してしまうのも仕方がありません。

そんな中でご質問者様のように「話し合い」が出来る方は極めて珍しい存在でしょう。

そのスキルは誇っても良い素晴らしいもので御座いますが、同時にそのスキルは多くの人間との間に亀裂を生み出します。

ですのでご質問者様はそのスキルを誇りに思いつつも、能ある鷹は爪を隠すの諺にもあるようにそのスキルを普段は封印した方が良いでしょう。

意見と人格を切り離すことが出来ない

今回の回答は私の意見ではなく、歴史上のある偉人の名言から引用したもので御座います。

「議論とは、愚か者同士の自慰行為に過ぎない」

これはドイツの哲学者であるニーチェの言葉で御座いますが、今回はこの言葉を参考に回答を書かせていただきました。

 

 

 

 

 

 

もちろんこれは大嘘で御座います。ニーチェはこんなことを言っておりませんし、こんなわけの分からん気持ち悪いことを言った人間は後にも先にも恐らくは私だけでしょう。

しかし、人間という生き物は意見と人格を切り離すことが出来ません。

もしも先程のそれっぽい名言に感動したのであれば、それを言ったのがニーチェだろうが私だろうが感動をするべきでしょう。しかし「ニーチェが言った」といえば感動するのに「そこらへんのラブホスタッフが言った」というと途端に有り難みがなくなるので御座います。

おそらくご質問者様は意見と人格を切り離すことが出来る方でしょう。それはとても素晴らしいことなのですが、現実問題としてこれが出来る人間はほとんどおりません。

つまりご質問者様のことが嫌いな人間にとって、ご質問者様の意見は全て不快なものなので御座います。正しい間違っているなんてことは関係御座いません。嫌いな奴が言ったというただそれだけの理由で内容に関係なく否定してしまうのが、人間という生き物で御座います。

逆に言えばご質問者様が相手から好かれ尊敬されていれば、何を言ったって相手は納得し感心することでしょう。それこそ「コロナは危険である、ゆえにコロナは危険である」というような小泉構文を用いても、好感度さえあれば相手は「深いことを言ってる」と勝手に感心してくれるので御座います。

ですので今のご質問者様がすべきことは「好感度」の確保。そしてそれを得るためには「分かる」と言って、相手の話に同意する必要が御座います。

というわけで今回の回答にご納得いただけたかどうかは分かりませんが、とりあえず練習として「分かる」とツイートしていただければ幸いです。

さあさあ練習です。まさかTwitterで拡散して欲しいというのが本当の狙いというわけでは御座いませんよ。