変化を恐れなくなった
小学4年生の時、私は初めてメガネをかけました。
メガネをかけて初めて登校するときの憂鬱さは、メガネをかけたことのある方ならお分かり頂けることでしょう。
クラスメイトが「メガネだメガネだ」と囃し立ててくるのです。
私もその経験をした1人なので、変化をすることへの恐怖を持っていました。
しかし、あの日。
O君がシークレットシューズの話を周囲の人にバラしまくった日。
あの日の周囲の反応は小学校の時のそれとは全く違うものでした。
似合う似合わないの問題は多少あったものの、自分のコンプレックスを改善するためにシークレットシューズを履いたO君に対して、周囲の人間は肯定的だったのです。
シークレットシューズを履きながら家に帰った私は、一体なぜこんなことになったのかを考えました。
そして2つの結論に到達したのです。
1つ。
周囲の人間は自分のことをあんまり見ていない。
2つ。
前向きに変化をする人間に、女性は肯定的。
もちろん世の中にはシークレットシューズを履く人間のことを笑うような女性もいることでしょう。
しかしO君のようにあっけらかんと前向きにアピールする男性に、女性は概ね肯定的なのです。
一方で私のようにこっそりと靴を履いただけの人間に人は気がつきません。
そしてこそこそとシークレットシューズを履いている私に誰かが気が付いた時、周囲の人は嘲笑をしたことでしょう。
さて、ここで背の低いご質問者様にお伺いさせて頂きます。
明日からシークレットシューズを履いて職場や学校に行く勇気が御座いますか?
おそらくはないことでしょう。
私だって30万円という大金を手にして浮かれていたからこそ買えたようなもので御座います。
事実、シークレットシューズを買ってみようかな、と思ってから実際に買うまで3年近くかかっているのです。
おそらくシークレットシューズは、この世界で買える商品としては「カツラ」「ダッチワイフ」「コンドーム」に並んで恥ずかしい商品でしょう。
ですので身長に悩んでいる方であっても、そう簡単に買うことは出来ません。
しかし浮かれ気分でそれを買い、さらには学校に履いていってしまった今、私には怖いものはありませんでした。
人生で初めて髪を染めた時、それを人に見せるのが恥ずかしくありませんでしたか?
人生で初めて縮毛矯正をした時、それを人に見せるのが恥ずかしくありませんでしたか?
人生で初めてコンタクトをした時、それを人に見せるのが恥ずかしくありませんでしたか?
人生で初めてアイプチをした時、それを人に見せるのが恥ずかしくありませんでしたか?
人生で初めてBBクリームを塗った時、それを人に見せるのが恥ずかしくありませんでしたか?
人間は変化を恐れる生き物で御座います。
そして変化した自分を人に見せるのは、その何倍も恐ろしいことでしょう。
しかし、先ほどの5つの変化など、シークレットシューズを買う恥ずかしさと恐ろしさに比べれば大したものでは御座いません。
あの日、
シークレットシューズをO君にバラされたあの日。
あの日から1ヶ月の間に私は先ほどの5つの行動を実行しました。
全て合計してもせいぜい5万円程度の出費で御座います。
やろうと思えば大学1年の4月に出来たことでしょう。
しかし、当時の私には勇気がなくてそれが出来ませんでした。
変化をし、それを人にバカにされることを何よりも恐れている臆病な男だったのです。
ですが、シークレットシューズの一件を経験した私にこの程度の変化など恐るるに足らない変化で御座いました。
自分で言うのは少々恥ずかしいのですが、私がモテ始めたのはこの頃からで御座います。