論より証拠 実際に飛んでみた
飲み会の席で我々「バンジージャンプの方が絶対に怖い派」は、このような理論を武器に「スカイダイビングの方が怖い派」と戦いました。
どう計算してもバンジージャンプの方が怖いのです。物理学的にバンジージャンプの方が怖いのは間違いありません。
「スカイダイビングの方が怖い派」の敗北は必至。
我々は勝利を確信しました。
しかし、「スカイダイビングの方が怖い派」は最後の力を振り絞り、我々に一矢報いる一言を放ちました。
「なら、飛んでみろよ」
というわけで飛んできました。
どれだけ計算したところで完全に恐怖を消しさることは出来ませんが、しかし我々「バンジージャンプの方が怖い派」はスカイダイビングが怖くないことを論理的に理解しています。
論理が感情に負けてはいけない。
科学を信奉する人間の1人として、彼らの挑発に屈してはいけないのです。
今回、私が行ったのは埼玉県川島町にある東京スカイダイビングクラブ。
埼玉県にあるのに東京を名乗るマインドは「東京ドイツ村」や「東京ディズニーランド」と同じでしょう。
ダイビング料金は1回32,000円でした。
32,000円と言えば高く感じますが、セスナを飛ばし、プロのダイバーを1人使うことを考えれば決してボッタクリなどではなくむしろ安いくらいでしょう。
さて、それでは我々が出した「スカイダイビングは大して怖くない」という結論は実際にどうだったでしょうか?
結論:怖くない
実際に飛んでみて確信をしました。
我々「バンジージャンプの方が怖い派」の理論は全て正しかったのです。
フリーフォール中は恐怖を感じるどころか「我々の理論は正しかった」と余裕の笑みを浮かべられるほど。
ジェットコースターで感じる「フワッ」とした不快感もありませんし、地上から遠すぎて「地面に落ちている!」という感覚もほとんど御座いませんでした。
スカイダイビングは全然怖くない。
少なくともバンジージャンプとは比較にならないことでしょう。
我々は勝利を確信したのです。
そう、あの瞬間までは……
我々は大きな見落としをしていたのです。
人間はスピードが怖いのではなく、加速度が怖い。
その結論を出しておきながら、スカイダイビングの「アレ」を忘れていたのです。
そう、それは
パラシュート
優雅に飛んでいるように見えるパラシュートですが、そのスピードは我々が思っているよりはるかに速いのです。
しかもパラシュートは風に煽られたり、方向転換などで滅茶苦茶に大きな加速度が発生しているのです。
これが滅茶苦茶怖い。
パラシュートはちょっと右に曲がろうとするだけで、平気で2,30mくらい落ちるのです。
1000mくらいの高さを飛んでいるので大した落下に見えませんが、冷静に考えて2,30mの落下は怖くないはずがありません。
しかもパラシュートが開いてからは、体勢が仰向けから直立に変わります。
つまりあの「フワッ」とした不快感も大きくなってしまうのです。
これが怖くないはずがありません。
【結論】
スカイダイビングのフリーフォールは怖くないけど、パラシュートが怖い。