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アルバイトは休む時に代わりを見つけるべきなのか?

喧嘩することが目的ではない

結論から言えば、私はこの3つの中では「3」の状況が最も良い状況であると思います。

おそらく「2」を選んだ方はほとんどいらっしゃらないと思いますが「1」を選んだ方はそれなりにいらっしゃることでしょう。

確かに「アルバイト」や「社員」という立場の方にとって、1番都合が良いのは「1」で御座います。

そのため「1」が1番良いと仰る方は「正当な自分の権利を行使しているだけであり、一体何が問題なんだ」というような意見を仰ることでしょう。

しかし、私は本来あるべき姿として最も理想的な状況は「3」であると私は考えています。確かにアルバイトの目線から自分の利益だけを考えれば「1」が最も得をする状況でしょう。しかし、それでは店長や店側に対して厳し過ぎる状況なのです。私はそういった状況が理想的な状況であるとは思いません。

お互いがお互いに「相手の立場」を考え、お互いがお互いに相手の状況を思いやるべきだと考えているのです。

確かに今回のご質問者様の状況であれば、店側がご質問者様の立場を考えていないので、ご質問者様に対して私から注意をしたいことは御座いません。

ですが、この手の事例をお話すると必ずと言って良いほど「アルバイトはいかなる事情があろうとも、法律で守られた権利があるのだから、店側に配慮なんかする必要がない!」というような「0か100か」というような意見を仰る方が現れるのです。

私がご質問者様にお伝えしたいのはまさにこの点。

今回ご質問者様が休めなかったことは店側の対応として決して良いものではありません。もちろん店側に事情があるのも判りますが、ご質問者様がアルバイトであろうが正社員であろうが派遣社員であろうが、体調の悪い人間に「仕事をしろ」と言うのは問題でしょう。

ですがどうか「アルバイトはいかなる事情があろうとも、法律で守られた権利があるのだから、店側に配慮なんかする必要がない!」というような偏った意見に傾倒しないで頂きたいのです。

今回のご質問者様からの質問の最後は「休むなら代わりを探してという制度をどう思いますか?」という内容で御座いましたが、ご質問者様が望んでいる回答は判ります。

「そんなもの法的にも認められていないものである。故にその制度は許されない」でしょう。

ご質問者様がその意見を望む気持ちは判ります。

ご質問者様は店長に対しての憎しみを抱いているのですから、店長を正当に糾弾する手段が欲しいのです。そもそもそう考えているからこそ、私にこのようにご質問を送ってくださったのでしょう。そのお気持ちは判ります。

そして今回の件に関して言えば、私もご質問者様の味方に立ちたいと考えております。そのこともまたお約束をさせて頂きます。

しかし、そこで話が終われば良いのですが、ご質問者様は「休むなら代わりを探してという制度をどう思いますか?」と質問をしてしまった。これが危険なのです。

この質問に対して、私は決して「それは法的に許されない行為だから、探す必要などない!」とは言いません。この私の主張に文句のある方もいらっしゃることでしょう。確かに法的な話をすれば、アルバイトが代わりを探す理由など御座いません。その仕事は間違いなく管理者である店長の仕事でありご質問者様に課せられるべきものではないでしょう。

では私がどうして「法的にOKな行動だから、大丈夫だよ」と言わないのか。

それは「法律」という正論で行動をすると「引け目」がなくなってしまうから。私は人間にはある種の「引け目」が必ず必要だと考えています。「引け目」が判りにくいのならば「罪悪感」でも良いでしょう。そして「引け目」がない方というのはいつだって「自分が正しい」と確信し、大問題を起こすのです。

錦の御旗

錦の御旗というのは

 

天皇「私の敵がいるから倒してきて」

 

と、天皇が部下である将軍に頼むときに渡す旗のことで御座います。

そんな旗に何の意味があるんだ?とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、この旗の効果は絶大なんていうものでは御座いません。この旗を持っているということは、それは自分の軍が「官軍=正規軍」であることの証明なのです。

それでは錦の御旗があると一体どうなってしまうのでしょうか?

人がたくさん死ぬ戦い

戦いが起こらないことに越したことはありませんが、70億もの人間が生きる世界において戦いを0にするのは難しいでしょう。

それならば次に重要なのは戦いが起こった時の損害を出来る限り少なくするということ。

それでは戦いで損害を少なくするためにはどうすれば良いでしょうか?

お互いが「自分だけが正義なわけではない」と思っている戦いは、お互いがお互いに配慮をするので比較的落ち着いた戦いになります。

一方で危険な戦いはこちら。お互いが自分こそが正義であると考えている戦いはほとんどの場合に置いて相手が死ぬまで終わりません。

「錦の御旗」

このアイテムは自分のことを「絶対的な正義」と保証してくれるアイテムで御座います。こんなものがあると、たいていの人は「俺が正義だ!」と正義に酔い始めます

つまり「自分こそが正義」だと考える人間を量産してしまうのです。もちろん錦の御旗が必要な時もありますし、使い方次第なのですが、基本的には相手を全員殺すためのアイテムだと考えなくてはなりません。

それでは今日の「錦の御旗」とは何なのか。

それは「法律」で御座います。このように法律で自分の正当性が守られてしまった人間というのは、どこまでも相手側を追い詰めてしまいます。

そんな方々の決め台詞は「法律に反していないのに何が悪い!?」

法律は揉め事を解決するための最終手段くらいに考えておいた方が懸命です。

そんな手段を使わないで話が済むのであればそれに越したことはありません。

そういう意味では「法的に正しいのだから何が悪い!?」と口癖のように言う人間は「敵国に対して核兵器を使って何が悪い!?」という考えた方と限りなく近い考え方を持っているのではないかとすら思います。

もちろん切り札として使うのは構いませんし、使わざるを得ない状況があるのも当然です。ですが切り札というのは基本的に「存在すること」にこそ意味があるのです。ですので我々が考えるべきことは「どうやってこの最終兵器を使うのか」ではなく「どうすればこの最終兵器を使わずに済むか」ということであると言えるでしょう。

私はこの状況こそが最も理想に近い状況ではないかと考えています。

この状況にするためにはどちらもが「もしかして自分が悪いんじゃないのか?」という不安を抱くことが重要です。人間は基本的に「不安」を抱くことを嫌い、どちらが正義なのか悪なのかハッキリさせたがる生き物ですが、その「不安」が無さすぎるというのもまた問題なのです。

以前も同じようなことを言いましたが、これまでの人類の歴史でとんでもない虐殺をしたのは皆「自分のことを正義と確信してしまった人」なのです。そのことをご理解くださいませ。

だからこそ、私はご質問者様に「錦の御旗」を渡すことが出来ません。

画像はイメージであり、本文とは関係御座いません。多分……

錦の御旗は渡せない

今回のご質問者様の状況に置いて「パワーバランス」は圧倒的に店側に傾いておりました。

しかし、それならばアルバイト側に圧倒的にパワーバランスを傾ければ良いのかと言えばそんなことは御座いません。

あくまでも理想は「どちらも同じくらい」であり「お互いがお互いに配慮した形」であると私は考えています。

もちろん「お互いに配慮しようね!」という言葉でお互いがお互いに配慮が出来るようになれば、それに越したことは御座いません。

しかし、現実的な話をすればなかなかそういう風にならないのも事実。それならばどうすれば良いかというと、これは「罪悪感」が重要です。

「どちらかが一方的に100%悪い」なんて状況はそうそう起こり得ません。

どう考えても「相手が悪い」という状況であっても「もしかして自分が悪いんじゃ?」という風に、少しばかりの「引け目」や「罪悪感」を感じることは非常に重要です。

 正義に酔ってはいけない

もちろん私は今回の件に関して言えば、店長側に問題があるとは思います。ですのでご質問者様のことを一切否定するつもりも御座いませんし、本当に大変な状況であったと思います。もう2度とそのような状況が起こらぬよう「法律」という手段を取っても良いかもしれません。

ですが、ご質問者様にどうかお願いしたいことが御座います。

どうか「正義」に酔わないで欲しいのです。今回のことで店長側とご質問者様のどちらが「悪」かと聞かれれば、それは店長側であると私も思います。

ですが、それだからと言って「悪」と戦う人間が「正義」かと聞かれれば、必ずしもそんなことは御座いません。正義の反対が別の形の正義であるように、悪の反対はたいていの場合「別の形の悪」に過ぎないのです。

どうかどうか自分の「正義性」に酔わずに、お店側とのパワーバランスを調整して下されば幸いです。

ただ、可能であれば、その職場を辞めることが最も効率的な手段であると私は思います。



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