【お悩み相談第5回】嫌な記憶の忘れ方

【ご質問】

子供の頃のトラウマが消えなくて困っています。

【回答】

ご質問誠に有難うございます。
 
「01123581321345589144」
「01234567890123456789」
 
この数字はどちらも20桁の数字ですが、暗記をしてみてください。
暗記をしたと思ったら、この画面から目を離し、紙に数字を書いてみてくださいませ。
 
おそらく下の数字を暗記できない方はいらっしゃらないことでしょう。
0から順番に数字が書かれているだけですので通常であればまず忘れることは御座いません。
5秒もあれば暗記できることでしょう。
 
しかし、上の数字を暗記できた方は少ないことと思います。
何故、上の数字は暗記が出来ないのに下の数字は暗記が簡単に出来るのかと言えば、それは「意味の有無」が原因であると言えるでしょう。
 
下の数字は「0から順に9までを2回」という「意味」が御座います。
しかし、上の数字には意味が無い。この意味の差が「分かりやすさ」の差となり、覚えやすさの差になることと思います。
 
この「意味の差」というのは暗記をする上で非常に重要で御座います。

フィボナッチ数列

先ほどの「01123581321345589144」という数字の「意味」を皆様にお伝えしたいと思います。恐らくこの「意味」をご理解頂ければ、「01123581321345589144」という謎の数字もきっと覚えられることでしょう。 

実は、この「01123581321345589144」という数字はフィボナッチ数という数学の意味が御座います。
フィボナッチ数と言っても意味が分からないことと思いますので、少しかみ砕いてご説明させて頂きます。
 
まずは「01123581321345589144」を
「0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144」
というように分けて考えてみましょう。
 
 ここでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この数字の列は直前の2つの数字の合計が次の数字になるという数列になっており、このような数字の並びのことを数学用語では「フィボナッチ数」と言います。

「0+1=1」「1+1=2」「1+2=3」「2+3=5」「3+5=8」というように続く数列のことで、これを理解すれば上の数字を覚えることも簡単でしょう。

最初の「0」と「1」を決めれば、3桁目は0+1で1、4桁目は1+1で2、5桁目は1+2で3と簡単に覚えることが可能です。
 
「01123581321345589144」という数字の羅列を覚えることは非常に難しいでしょうが、フィボナッチ数という言葉とその仕組みを覚えることはそこまで難しいことでは御座いません。
 
このように人間と言う生き物は「意味のないもの」「抽象的なもの」を暗記することが苦手な反面「意味のあるもの」「具体的なもの」は比較的簡単に理解することが可能で御座います。
また、その意味に「名前を付ける」ということもまた記憶の上では非常に重要な要素で御座います。フィボナッチ数の場合、日本語ではないのでやや覚えにくいですが「最初の数から順々に足してくやつ」なんていう覚え方よりも「フィボナッチ数」と名前を付けたほうが簡単に覚えることが可能でしょう。
 
これは数学に限った話ではなく、受験勉強においては非常に重要な要素の1つです。
例えば歴史であれば「満州事変(1931年)」と「日本の国際連盟脱退(1933年)」という言葉だけを覚えても、どっちが先の出来事かすぐに忘れますが「満州事変での日本の行動が国際連盟で問題になって、それに納得できなかったため脱退した」と覚えれば「満州事変→国連脱退」という順番を忘れることはありません。

暗記をするためには「暗記物に意味を与える」

受験勉強で必ず役立つ法則の1つでしょう。理由や概念を与えると、人間の記憶は格段に向上するのです。

ところで受験生にとって最も大変な暗記は何といっても「英単語」かと思います。

これもやはり「意味を与える」と言うことが非常に重要な要素になるのですが、私が塾講師をしていた2011年、受験生の全員が簡単に覚えることが出来る単語が御座いました。
 
それは「Melt(メルト)」
 
「溶ける」という意味ですが、この単語の意味を忘れてしまった受験生を私は1人も知りません。
 
その理由は私が考えるに3つ御座いました。
 
1つ目は、同名の歌がインターネットで流行っていたため。しかもサビの部分に「溶ける」という単語があったので簡単に覚えることが出来たのでしょう。
 
2つ目は、東日本大震災。福島原発で発生した「メルトダウン」という言葉は「Melt」が「溶ける」という意味を想像する上では非常に分かりやすい例でした。イメージ付けという意味では、非常に分かりやすい例であったと言えるでしょう。
 
そして3つ目ですが、これは2つ目にも関連する理由で御座います。
「何度も何度も繰り返し「メルト」という言葉を聞くことになった」ということ。
 
皆様も記憶に新しいかとは思いますが、2011年3月11日からしばらくの間、「メルトダウン」という言葉をニュースで聞かない日は御座いませんでした。
 
人間の記憶というのは「長期間にわたる繰り返し」で定着率が格段に向上致します。

例えば「Melt」という単語を覚えるために100回音読をするとしても、1日で100回音読するのではなく、1日1回100日間音読をした方が遥かに効率的で御座います。

さて、受験生の皆様、ここまでのポイントをおさらいしてみましょう。
 
暗記をするためには

1)イメージや理由を付ける

2)意味を覚える

3)長期間にわたり繰り返す 

の3点が非常に重要になります。
 
是非、受験勉強にご活用くださいませ。
 
さて、今回の本題に入らせて頂きます。
 
人が物事を暗記、覚えるためには「イメージや理由や意味」を持たせ、それに「名前」をつけて、「長期間にわたって繰り返す」ことが非常に有効で御座います。
 
つまり、自分個人の嫌な思い出に「心の傷」というイメージを持たせ、それは嫌な思い出によって発生したもの、という理由を持たせ、それが今の自分の行動を制限しているという「意味」を持たせ、それに「トラウマ」と名前を付けて、その「トラウマ」という言葉を日常生活の全く関係のない場面でもよく耳にするという行動は
 
 自分個人の嫌な思い出を忘れないためには、これ以上ないほど最高の手段であると言えるでしょう。
 
私は「トラウマ」という単語が悪いと思っているわけでは御座いません。
医学的には名称を付けないと何かと不便ですし、研究者の方からしても「真理を追究する」という意味では有効なことでしょう。
 
しかし、自分の嫌な思い出に「トラウマ」という名前を付けてしまうことは、これ以上ないほどに「トラウマ」を忘れることに悪影響を与える。

そう考えているので御座います。
 

例えばご質問者様の「嫌な過去」をお医者様が「それはトラウマだ」と判断することは別に問題は御座いません。

しかし、ご質問者様が「これはトラウマだ」と口にすることは、少なくとも「忘れる」「記憶が薄れる」という意味では悪影響しかない。私はそのように考えているので御座います。

 たとえトラウマが事実であったとしても、自身がそれを口にすることで忘れることが難しくなる。それどころか「トラウマという重い病なのだから、辛いはずだ」とより症状が辛くなりかねないのではないでしょうか。
 
重ね重ねになりますが、私は「トラウマ」という言葉に不満があるわけではありません。さらに、トラウマに苦しむ方が「甘えている」とかそういうつもりも全くないのです。
 
治すためには「トラウマ」と口にしない方がいいのではないか、と考えているので御座います。
 
昔の話になりますが、私は小学生の頃、上級生から目を付けられておりました。殴られたこともアザを作って家に帰ったことも御座います。
 
ですが、当時の私は「トラウマ」という単語を知らなかった。これが幸いだったと思います。
 
「上級生に呼び出され、数人に囲まれて、意見を変えなければ殴ると脅されたときの恐怖」を私はもう覚えておりません。そんな抽象的で意味が無くイメージしにくく覚えにくいものをいつまでも覚えているはずがないのです。
 
呼び出されたという「事実」は具体的なので覚えていますが、その時の「感情」という抽象的な存在は覚えていない。
 
しかし、その恐怖という感情に「トラウマ」という名前を与え「心の傷」という分かりやすいイメージを与え、ことあるごとに「トラウマ」という言葉を耳にしていたら、覚えることが出来てしまう。
 
つまり私以外の人間が私のその出来事に対して「あれはトラウマだ」と思うのは別に構わないのですが、それを私には言わないで頂きたいということ。そんな分かりやすく覚えやすい言葉を言われたら、そのときの恐怖の感情をしっかりと覚えることが出来てしまう。
 
覚えなくてもいいことを、出来ることなら忘れたいことを、わざわざ覚えやすい形にしてはいけない。
 
だから私は「自分の嫌な思い出」には「トラウマ」という言葉を与えてはいけない、とお伝えしているので御座います。
 

ご質問者様の過去にあった「嫌な思い出」は「抽象的で覚えにくい感情」で御座います。それは断じて「トラウマ」では御座いません。

記憶を薄め、忘れるためには医者がトラウマと言おうとも、科学的にトラウマであろうとも、それを「トラウマだ」と覚えやすくしてはいけないのです。

記憶するのが難しい抽象的でイメージしにくいものにし続けたほうが良いのではでしょうか?

 「弱者ぶるな」とか「甘えるな」と言っているのでは御座いません。
忘れたいものを忘れにくい形にしてはいけない、と言っているので御座います。
 
私は「トラウマ」という言葉は、過去のことに苦しんでいる「自分以外」の人間を支えるときに「自分の頭の中で」考えるべき言葉だと思っております。
 
「あの人はトラウマで苦しんでいるから、こうしてあげよう」

そんなときに頭の中で使う言葉であり、決して口にする言葉ではないのです。

ガン患者に対して「貴方はガンだから、明日死ぬよ」と言うことは確かに、嘘を付かないという意味では正しいかもしれませんが、そんなことをして何になるのでしょうか?

たとえ医学的に、科学的に、その人が「トラウマ」を持っていたとしても、「それはトラウマだ」と伝えることで忘れにくくなってしまうのであれば、決して「それはトラウマだ」と伝えてはいけない。自分自身も口にしてはいけない。
 
私はそう思います。
 
忘れたい記憶には、決して名前を付けてはいけないのです。
 

※注意 

この下には、20歳未満の方は決して見てはいけない、忘れたい記憶が書かれております。
20歳以上の方のみこの下の言葉をお読みくださいませ。
良いですか!?絶対に20歳未満の方は見てはいけませんよ?
ちゃんと言いましたからね!?
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 
紫鏡

 

 
 
「それはトラウマだね」と人に言うのは、こういうことだと思うのです。

 

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1 個のコメント

  • うわぁーーーっ!なっ!懐かしっ!
    しかも、完全に忘れてたのにっ!!
    なんて事を思い出させるんですか!
    …最後に身をもって実証させられて
    すごく…悔しいんですけどw

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