【ご質問】
20代後半の男性です。
私は、自慢しいです。
自慢するためだけに生きていると言っても過言ではございません。
人に「すごいね!」と褒められるのが何よりのご褒美で、「ありがとう!すごいでしょう!」とドヤ顔をするために生きています。
常にそんな態度を取っているのですが、妻から頻繁に「自慢しなければ完璧なのにね」「自分で言わなければもっとすごいよ」と、指摘をされてしまいます。
私のようなデキる人間が謙遜をしてしまったら、大多数の私よりもデキない人に対して失礼だと考えているため、「私はすごい!」という態度を取っているのですが、それでも謙遜はした方が良いのでしょうか。
また、きっと既に上野さんは、私という人間を深く見抜いていらっしゃるかと存じますので、このような人物をどう思うか、率直な感想を聞かせていただければ幸いです。
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
「デキる人間が謙遜したら、出来ない人に失礼」という考えが間違っていると思いません。
例えばイチロー選手が「僕なんて野球下手ですから」と言ったら、本人がどう思っているかはともかく嫌味以外の何ものでもないでしょう。
デキる人が自分を卑下してしまったら、出来ない人の立つ瀬がない。卑下をするということは褒めて下さっている方の思いを踏みいじるということにもなりますので、そういう意味でもご質問者様が「ありがとう!すごいでしょう!」と言うのは相手の意思を尊重していると言えるかも知れません。
しかし、これはあくまでも「ご質問者様を褒めている人に対しての対応」としては正しいものの、それ以外の場合は必ずしも正解とは言えないでしょう。
そもそも人が人を褒める時、その心中は大きく3つに分けられます。
この3つのタイプごとに、ご質問者様が取るべき対応は変わります。
ですので相手がどのタイプかを考えて、ご対応いただければ幸いです。
単純に凄いと思っているタイプ
まず最もわかりやすいのが、ご質問者様のことを単純に凄いと思っているタイプでしょう。
このタイプが相手の場合、ご質問者様は特に気にすることもなく「ありがとう!凄いでしょう!」と言って問題ございません。
何せご質問者様は客観的に見てどう考えても凄いのです。人間誰しも褒められたら嬉しいものですが、ここまで突き抜けられる人間はそうそうおりません。
良い意味で異常者と言っても過言ではないでしょう。私は異常者が大好きなので、ご質問者様には是非ともこのまま邁進して頂きたいと願っております。
おそらく”これまでのご質問者様”の周りにはこのタイプの方が最も多かったことでしょう。その理由は後述させて頂きますが、ご質問者様がこれまで「ありがとう!凄いでしょう!」と言っても大した問題にならなかったのは、ご質問者様の周りにこのタイプの方が多かったからに他なりません。
凄いと思っていないタイプ(京都人スタイル)
「ピアノ上手にならはったなぁ」
もしもご質問者様が京都人からこんなことを言われたら、間違っても「ありがとう!凄いでしょう!」と言ってはいけません。
何故ならばこの発言をした京都人は「ピアノが上手になった」なんて欠片も思ってはいないのです。「ピアノの音がうちまで聞こえてきてうるせえんだよ!」と暗に言っているに過ぎません。
このように文面だけを見れば褒めているものの、心中では全くもって褒めていないということが世の中には往々にして御座います。京都の話は極端なもので御座いますが、例えば仕事の取引先であれば、全くそんなことを思っていなくても「御社の商品は本当に凄いですね!」くらいのことを言うことでしょう。
このように相手に褒める気は全くないものの社交辞令として褒めている場合は「ありがとう!凄いでしょ!」と答えてしまうと、相手に顰蹙を買うのは避けられません。ご質問者様はまだ20代後半なので、おそらく「可愛げ」として許されていることと思いますが、今後30代40代になると可愛げで許されなくなることでしょう。
「デキる人間が謙遜したら出来ない人に失礼」というのは確かに事実ではあるのですが、このタイプの場合「そもそもご質問者様のことを凄いと思っていない」ので、謙遜しても失礼にはなりません。むしろ「凄い」と思っていない相手が、こちらの社交辞令を間に受けているのを見て、「バカかこいつ、調子に乗るな」と思われてしまうことでしょう。
憎んでいるタイプ
最後に3つ目のタイプがご質問者様のことを憎んでいるタイプで御座います。
そしてこのタイプは今後、ご質問者様の周りにどんどん増えていくことでしょう。
例えばご質問者様は順調に出世をされているようですが、ご質問者様が出世したことで出世できなかった同期も存在します。そういう人間からすればご質問者様は憎くて憎くて仕方のない存在でしょう。
デキる人間は出来ない人間から嫌われるのです。特にご質問者様と利害関係がある方であれば尚更でしょう。
学生時代や若手の頃はそこまで利害関係がなかったことと思いますが、今後ご質問者様が出世をすればするほど周囲には利害関係のある方ばかりになるので御座います。出世の椅子は1つしかないのに、それを目指している人間は大量にいるとなれば、出世をしたご質問者様のことを憎むのは仕方がありません。
相手がこのタイプの場合、その褒め言葉に尊敬の念は欠片もないのです。世間体のために「凄いですね」と言っておりますが、心の中では「お前さえ消えれば俺が出世できるのに」という憎しみの心でいっぱいのことでしょう。
またこのタイプは「凄いと思っていないタイプ」の性質も持ち合わせていることが多く、ご質問者様がどれほど成果を残しても「どうせまぐれ」「運が良かっただけ」「本当は俺の方がデキる」とご質問者様のことを認めておりません。
特に「本当は俺の方が凄い」と思っていることが重要で、自分の方が上だと思っているので「デキる人間が謙遜したら出来ない人に失礼」という理屈にそもそも当てはまりません。
男に仕事で褒められたら謙遜しとけ
「デキる人間が謙遜したら出来ない人に失礼」というご質問者様の考えが間違っているとは思いません。また客観的に考えてご質問者様が有能なことに疑いの余地は御座いませんし、個人的に言えばご質問者様のようなぶっ飛んだ人間のことが大好きで御座います。
しかし、ご質問者様のことを褒めた人間が、必ずしもご質問者様のことを「デキる人間である」と思っているわけではないということは覚えておいたほうが良いでしょう。
口では褒めていても、心の中では「お前よりも俺が上」と思っているのです。ですのでそんな方に対して「凄いでしょ!」なんて言ったら「デキる人間が謙遜したら出来ない人に失礼」という理屈は成立せず、単純に「大したことないくせに自慢しているアホ」という評価になってしまうことでしょう。
非常に男女差別的な物言いをしますが、ある程度の年齢になった男を本気で凄いと言ってくれるのはご質問者様のことが好きな女性と親くらいなもので御座います。特に社会人になれば、ご質問者様のことを褒める男性の95%は心の中で「俺の方が凄い」と思っていると考えて頂いて問題ございません。
私がご質問者様のことを手放しで「すげえ」と言えるのも、ご質問者様と利害関係がないからなので御座います。もしも私がご質問者様の同僚や取引先であったら、どれほどご質問者様が凄くとも、心の底から手放しで「凄い」と言うことは出来ないことでしょう。
もちろん利害関係のない話題であれば本気で褒める男性も少なくありません。
例えばご質問者様は楽器が上手なようですが、楽器をしない方からすれば楽器のスキルで負けようがどうでも良い話なので、素直に褒めてくれる方も多いことと思います。
しかし「仕事」「金」「地位」「女関係」の4つに関しては、素直に褒めている男性は皆無とお考え頂いて問題ございません。口では何と言おうとも心の中では「お前より俺の方が上」「まぐれのくせに」「調子に乗るな」と罵詈雑言を吐いております。
ですのでどうかご安心くださいませ。
「デキる人間が謙遜したら出来ない人に失礼」と心配されるお気持ちはわかりますが、相手はご質問者様のことを「出来る人間」と思っていないのでこの心配は杞憂で御座います。
どうか安心して謙遜してください。その方がご質問者様にとって得であることは私が保証させて頂きます。