【ご質問】
3年半付き合った彼氏に先日振られました。
振られる時に言われた理由としては趣味の時間を邪魔されるのが嫌になったとのことでした。
コロナ禍でなかなか会えないこと、私自身はこの半年で急激に仕事が増えたことでストレスをうまく発散できないことが頻繁に電話連絡をしたがっていたことが相手にとってストレスになっていたようです。
話す内容の原稿まで書かれて来ていたので、覆しようのない状況に諦めてその時は別れることをごねずに了承しました。
別れて1週間後、部屋に荷物を取りに来た際には「好きな人と好きなこと(趣味)を天秤にかけてイライラする自分が嫌だった」「君と付き合っていく自信がなくなった」「まだ俺未練あるんだなと思う」など振られた私からすると最早どう受け取れば良いかわからない言い訳をされました。
結局突っ込んで話を聞かなかったため真相はわかりませんが振った相手にこのようなことを言う男性の心理とは何なのでしょうか。
また可能であれば復縁したいのですが、しばらく冷却期間を置けば可能性はあるのでしょうか。
【回答】
ご質問誠に有難うございます。
残念ながら多くの恋愛は終わりを迎える運命に御座いますが、実は恋愛の終わり方にはある傾向がございます。
それは圧倒的に女性から別れを切り出すことが多いということ。
これは恋愛でも結婚でも言えることなのですが、世の中の恋愛の多くは女性が別れを切り出すことで終わっております。
男は別れを切り出せない
あくまでも一般的な傾向ではあるのですが、基本的に男性はあまり別れを切り出しません。
その理由はいくつもいくつもあるのですが、中でも非常に大きい理由として「批判されやすい」という理由が挙げられるでしょう。
一般的に女性が男性を振った場合、そのことを批判されることはあまり御座いません。
「最悪な男だったから別れて正解」
「次の恋を探しなよ」
「よく踏み切った!」
など肯定的な反応をして貰えることが多いでしょう。
一方で男性の場合はどうでしょうか?
「なんで別れたの?(悪い意味)」「あんなに良い子だったのになんで?」「もったいない」など否定的な反応をされることも多いでしょう。少なくとも女性が彼氏を振った場合と比較すれば、否定的な反応をされることが多いのは間違いありません。
つまり恋人を振った場合、男性の方が周囲からの評価が悪くなりやすいのです。特に彼女を振った理由を語ろうものならば、どうしても彼女の悪口にならざるを得ませんので「元カノの悪口を言う男」という非常に悪い印象を周囲に与えてしまうことでしょう。一方で「元カレの悪口を言う女」という評価はそれに比べれば悪い印象にはなりません。
他にも「男性は彼女に愛想が尽きた場合、別れを切り出さずに浮気に走る」「付き合った後に問題を起こすのはだいたい男」などの理由も御座いますが、いずれにしても男性が別れを切り出すのは非常に珍しいことなので御座います。
悪者になりたくない
それでは今回の彼氏様の行動を考えてみましょう。
事情はともかく彼氏様は原稿を用意してまで別れを切り出したのですから、ご質問者様と別れたいと思っていたのは間違いないでしょう。先程申し上げたとおり、男性が自分から別れを切り出すことは稀なので、かなり本気で別れたいと思っていたのは間違いありません。
ここまでであれば彼氏様に特に問題点はないでしょう。実際のところどんな事情でご質問者様と別れたいと思ったのかは分かりませんが、どんな理由であっても人間には別れる権利が御座います。その権利を行使しただけでございますので、彼氏様を悪く言うべきでは御座いません。
問題なのはこの後。
彼氏様がご質問者様に別れを切り出した後、彼氏様は色々とそれっぽいことをご質問者様に言いました。彼氏様が仰るには「まだ未練がある」とのことで御座いますが、そもそも未練があると言っても良いのは「別れを切り出された側」であり、自分から別れを切り出した彼氏様に「未練がある」などと言う権利は御座いません、未練があるならば別れなければ良いので御座います。
それでは彼氏様は一体なぜこのようなことをご質問者様にお伝えされたのでしょうか?
おそらくは彼は「悪者」になりたくなかったのでしょう。
一般論として「趣味を優先したいから彼女と別れる」という理由はあまり肯定的に取られることは御座いません。彼がそんな理由を女性に話そうものならば「趣味を優先して彼女を捨てるクズ男」という印象を与えてしまうことでしょう。
ですので彼氏様は別れる際に「自分はクズ男ではない」という言い訳が欲しかったのではないでしょうか。
おそらく彼自身の中でも「趣味のために彼女と別れる」というのは、あまり良い響きではなかったのでしょう。だからこそ「自分はもっと別の理由があったからこそ彼女と別れるのであって、趣味で彼女を捨てるような男ではない」と言い聞かせるための言い訳が必要だったので御座います。
そしてその言い訳こそが「好きな人と好きなこと(趣味)を天秤にかけてイライラする自分が嫌だった」「君と付き合っていく自信がなくなった」「まだ俺未練あるんだなと思う」という彼の謎の発言になってしまったのでしょう。
「趣味で彼女を振った」に比べれば「好きな人を天秤にかける自分が嫌だった」とか「君と付き合う自信がない」という理由はまともっぽく聞こえるのは間違いありません。また「未練がある」と言っておけば「最後まで彼女のことを愛していた」という優しい彼氏感を演出することも出来るでしょう(だったら別れるな)。
つまり彼氏様はご質問者様のことをどうこう思っているのではなく、自分の保身のためにこのような謎の発言をされたのです。それは周囲の人を騙すためであり、ご質問者様を騙すためであり、そして何よりも自分自身を騙すための嘘に他なりません。
彼は自分が悪者になりたくなかったのです。彼は「自分のワガママで彼女と別れるワガママ彼氏」ではなく「色々と複雑でそれっぽくてやむにやまれず彼女と別れるという苦渋の決断を下した優しい彼氏」になりたかった。だからこそ最後の最後でこんなわけわからないことを言い出したのだと思います。
好きでも嫌いと言いやがれ
今回の彼氏様だって、どんな事情があったのかは分かりませんがご質問者様と別れたかったのです。その気持自体は否定されるべきものではないでしょう。
しかし、どんな事情があるにせよ別れを切り出す方は「別れを切り出す人間として責務」を果たすべきであると私は思います。
今回の彼氏様にはそれが全くもって欠けておりました。
実際問題として、ご質問者様は「復縁できるのかも?」という期待を抱いてしまいました。そんな期待を抱かせてしまったら、それこそ何年も何年もご質問者様は彼の影を追い続けて他の方との恋愛ができないかもしれません。
ですので実際に復縁の可能性があるにせよ無いにせよ、相手のことを思うのであれば「復縁はない」と断言するべきなので御座います。
恋人を振る際に「お前が嫌いだ」と強い口調で拒絶される方がいらっしゃいますが、そういった方は現実的に恋人のことを救っているのは間違いありません。
もちろん振られた直後は傷つきますが、そのようにスパッと切ってくれたほうが振られた側は余計な期待を抱かずに済むのです。曖昧なことを言って別れを切り出すのは相手に優しいようで、相手に未練を抱かせてしまう優しさに欠ける行為であるとすら言えるでしょう。
さきほど私は「未練があるなら別れなければいい」と言いました。
確かにこれは事実なのですが、現実問題として未練はあるものの別れたいということは少なくありません。
しかしもしも相手に未練があるのなら、もしも相手に少しでも愛情が残っているのであれば、たとえ未練があったとしても「未練はない。復縁もない」と相手の希望を断ち切ってあげるべきであると私は思います。
最終的に別れることになったとは言え、一度は愛した相手なのです。
相手に曖昧な希望を与えて生殺しにせずに相手の希望を断ち切る優しさくらい、別れるときでも残っているものではないでしょうか。