【ご質問】
相談なのですが、私は付き合って半年の彼氏がいます。その彼氏のことが好きになれません。
今まで生まれてから27年間彼氏ができたことがなく、もしかしたら彼を好きになれるかも、という気持ちで自分からアプローチし、あちらの方から告白してきてお付き合いを始めました。
彼は優しいし、オタクの私を受け入れてくれるし、良いところは沢山ありますが、好きになれません。
コロナ禍で出会ったので、強いて言えばマスク姿が好きです。(マスク外すと好きではないです)
好きになれないなら、別れるしかないと思ったのですが、私は彼を好きになる努力をしていないことに気付きました。
ただ、努力は好きなことだからできるのであって、好きじゃないのに好きになる努力…?って思ってしまい、そうする気持ちにもなれません。
さらに、先日キスをされた際に、気持ち悪いと感じてしまい、ますます努力してまで好きになる必要があるのかわかりません。
上野さんは好きになる努力は必要だと思いますか?
私は彼ともっと仲良くなって好きになる努力をするべきでしょうか。
また、努力が必要とのお考えでしたら、どのあたりが努力するか諦めるかの線引きになると思いますか?
こんなに良い人なのに好きになれないなら、もう今後誰も好きになれないような気がして怖いです。
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
好きになる努力が不要とは決して思いません。しかし今回のご質問者様に関して言えば、その努力を十二分にされていると私は思いました。ですのでご質問者様が彼のことを好きになれなかったのは、ご質問者様の努力不足ではなく、彼の魅力不足と言えるでしょう。
好きでもないのに、もしかしたら好きになれるかもと告白を受け入れる。これはすでに相手を好きになろうとする努力以外の何者でも御座いません。また「強いて言えばマスク姿が好き」というのも、相手の魅力を一生懸命探していたからこそ出てくる言葉でしょう。これもまた相手を好きになる努力と言えると私は思います。
ご質問者様は好きでもない彼のために十分な努力をされたと言えるでしょう。特に告白を受け入れたのは、彼に機会と時間という大きな2つのチャンスを与えている行動であり、ご質問者様が出来る努力としては最大限のものであったと私は思います。
好きになる努力は一緒にいる時間を増やすということで十分でしょう。まだ好きではない相手のことを好きになるために、好きにさせてもらうために、時間を作る。好きになるための努力はそれだけで十分すぎると私は思います。
ですのでどうかご安心くださいませ。好きになる努力が必要かどうかはともかく、ご質問者様は間違いなく好きになる努力をされています。それで好きになれなかったのであれば、それはもう仕方のないことでしょう。
良い人なんていくらでもいる
世の中には悪い人間がたくさん存在いたします。詐欺をする人、人を殺す人、犯罪ではないものの人間的にどうかしている人。男女年齢国籍人種を問わずして、世の中に悪い人がたくさん存在するのは間違いありません。
しかし、そんな悪人が大量に存在しながらもこうして社会が回っているのは善人が悪人よりも遥かに多いからでしょう。意外かも知れませんがこの世界に存在するほとんどの人間はそこそこに優しく、そこそこに良い人なので御座います、特に自分の恋人に対しては。
ご質問者様は彼のことを「こんなに良い人」と仰っておりますが、おそらく彼は平凡な良い人でしょう。別に彼が優しくないと言っているわけではなく、世の中のほとんどの人間は良い人なので御座います。彼もまたそんな「良い人」の1人であり、取り立てて珍しい存在では御座いません。
つまり「良い人」という魅力は「収入がある」程度の価値でしかないのです。あって当然の魅力であり、無いほうが珍しい。それ以外に何かしらの魅力があるからこそ好きになるのであり、良い人だけで好きになるほど良い人に価値は御座いません。もしも「良い人」というだけで人から好かれるのであれば、橋本環奈さんは私のことを大好きなことでしょう。
どうかご安心くださいませ。ご質問者様は今回の彼氏様が初めての彼氏ということなのでまだ実感は出来ないかも知れませんが、世の中の大概の男性は彼程度には優しくて良い人で御座います。
オタクをバカにするリア充は絶滅しました
今は昔、2000年代前半のオタクたちは激しい弾圧の中で必死に生きていたのは間違いありません。
しかし、それから20年経った今日において、オタクを弾圧する人間はほとんどいなくなりました。50代や60代の方の中にはいまだにオタクを弾圧する方がいるかも知れませんが、少なくとも今の20代30代でオタクを弾圧する人などほとんどおりません。
オタクは市民権を得ました。「オタクをバカにするリア充」なんていう生き物は、数々の優れたコンテンツによって絶滅の危機に瀕しているので御座います。
ご質問者様は「オタクを受け入れてくれている」と彼のことを評価されているようですが、現代日本においてそれは全く珍しいことでは御座いません。というよりも「彼女がオタクなのは嫌」という男性を探す方が難しいでしょう。
ですのでどうかご安心くださいませ。先程の「良い人」もそうでしたが、ご質問者様の仰る彼の魅力はどちらも全くもって珍しいものでは御座いません。その魅力は持ち合わせているのが当然の魅力であり、相手を好きになるためにはそこにプラスしてどんな魅力があるかということが重要になってくることでしょう。
ご質問者様は「こんな良い人を好きになれないなんて、自分は人を好きになれないのかも知れない」と不安にお思いのようですが、残念ながらそれは杞憂と言わざるを得ません。今の彼氏様をバカにするわけでは御座いませんが、彼氏様は取り立てて珍しい能力を持っている方では無いので御座います。言葉は悪くなりますが”この程度の男性”なんて、世の中にいくらでも存在するのですから「こんな良い人は他にいない」と悩む必要はないでしょう。
好きになる努力より嫌いにならない努力の方が大事
恋人を作る上で、相手を好きになる努力は必要不可欠でしょう。とは言えそれは「とりあえず付き合ってみる」という程度で十分すぎるのです。少なくともご質問者様は「好きになる努力」は十分にされているので、これ以上頑張る必要もないでしょう。
今回の彼氏様はたまたま好みではなかっただけなので御座います。世の中の人間のほとんどは最初の恋人と何かしらの理由で別れているのですから、1人目で好きになれる人と出会う方が難しいというものでしょう。確かに一般的には10代で1回目の経験をされる方が多いものの、それが20代後半だったからといって大した問題は御座いません。
どうか安心してくださいませ。失礼な物言いになりますが、世の中の自称出会いがない女性のほとんどは「とりあえず付き合ってみる」という努力すらされていないので御座います。そういった方々と比べれば、ご質問者様は数倍も数十倍も努力をされています。自分が努力をしていないなど、見当違いな悩みを抱く必要は御座いません。
「とりあえず付き合ってみる」という努力ができるご質問者様であれば、彼氏を作ることも、そしてその人を好きになることもそう難しいことではないでしょう。0を1にするのは難しいことですが、1を2にするのはそう難しいことでは御座いません。すでにご質問者様は0を1にしたのですから、1を2にする日はそう遠くないことだと私は確信しております。
さて、最後に1つ。ご質問者様に大好きな彼氏様が出来た日のために、僭越ながら1つだけアドバイスをさせていただければ幸いです。
「人を好きになる努力」は確かに重要で御座いますが、特に恋人関係においては「嫌いにならない努力」もまた重要でしょう。「嫌いにならない努力」と言っても、それは「相手のことを好きだ」と自分に言い聞かせるという意味では御座いません。相手が自分にとって不快な行動をしないように、しっかりと行動をするということで御座います。
例えば彼の食事のマナーが不快で仕方がなかったとしましょう。
もしもご質問者様が彼に注意をしなければ、彼のマナーが改善することは御座いません。すると食事の度に彼への不満が募り、いつかは彼のことが大嫌いになってしまうことでしょう。
確かにマナーが悪い彼にも問題が御座います。しかしこれはご質問者様が嫌いにならない努力を怠ったとも言えるので御座います。注意をしなければ彼のマナーが改善しないことは明白であり、彼のマナーが改善しなければ嫌いになるのもまた明白でしょう。それならばご質問者様は彼のことを嫌いにならないために、彼に注意をすべきだったので御座います。注意さえしていれば、ご質問者様は彼のことを嫌いにならずに済んだかもしれないのに、その努力を怠った。これが嫌いにならないための努力をすべきという意味で御座います。
所詮は他人なのですから、お互いに不満点があるのは避けられません。そういった不満点が相手のことを嫌いになる原因になる前に処理をする。そういった「嫌いにならないための努力」を怠っていては、どんな関係であれ長続きするのは難しいでしょう。