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タートルトークに学ぶ、コミュニケーションのテクニック

あの挨拶には意味がある!

改めて注意をさせて頂きますが、ここからはディズニーを分析するという夢ぶち壊しな内容になっておりますので、くれぐれもご注意くださいませ。

さて、タートルトークは時代ごとに少々会話の内容が変わっているのですが、基本的な流れはあまり変わっておりません。

  1. クラッシュが登場する
  2. ウミガメの挨拶をする
  3. ウミガメの挨拶を教える
  4. 小さい子供に話しかける
  5. その子供の親に話しかける
  6. クラッシュが観客に質問をする
  7. 観客からの質問に答える
  8. クジラ語講座からのエンディング

このうち「7.観客からの質問に答える」以外の部分に関しては、多少のアドリブこそあれ、ほとんど毎回同じ内容なのでほぼマニュアル通りと言って良いでしょう。

問題なのは「7.観客からの質問に答える」という部分。

ここだけは観客がどんな質問をするのか分からないので、マニュアル化することは出来ません。

それではクラッシュは一体どのようなテクニックで観客からの質問に回答しているのでしょうか?

実はこの1〜6までの流れが、観客からの質問に答えるための布石になっているのです。

それでは1つずつ、クラッシュのテクニックについてご紹介させて頂きましょう。

まず最初のポイントは2の「ウミガメの挨拶をする」という部分。

クラッシュが

クラッシュ
お前たち、最高だぜ!

と言ったら、観客が両ヒレ※1を上げながら「ウォー!」と答えるという挨拶なのですが、この挨拶は非常に重要な意味を持っております。

最初に挨拶を教えた後、クラッシュは事あるごとにこの挨拶を繰り返しますが、実はクラッシュがこの挨拶をするのは必ず「話が一区切りついたタイミング」なのです。

何かの話をして、区切りがついたら必ずこの挨拶を差し込む。

このことがどのような効果を持つのかと言えば、どんなタイミングからでもこの挨拶を差し込むことで強制的に話を終わらせることが出来るということ。

例えば観客から貰った質問に対して、オチが付けられなかったとしても、この挨拶さえ差し込んでしまえば強制的にオチを付けることが出来るのです。

ここで話が下手な人にありがちな失敗を例にして考えてみましょう。

話が下手な人には様々なパターンが御座いますが、その中の1つに「で?」と言いたくなる話というものが御座います。

 

話下手な人「昨日さ、ラーメン屋に行ったんだけど、すごく美味しかったんだよね」

 

話下手な人の問題点は、話の内容だけでは御座いません。

実際問題として、今の「ラーメン屋に行った」という話はそれ自体では特に問題のあるものではないのです。

問題なのは「話が終わったのか終わっていないのか分からない」ということ。

例えば先ほどの「ラーメン屋に行ったんだけど、すごく美味しかったんだよね」という話を

 

話下手な人「昨日さ、ラーメン屋に行ったんだけど、すごく美味しかったんだよね……(言葉尻がしぼんでいく感じ)」

 

というように続きがあるかのように話してしまうと、その話を聞いていた人は次の会話を始めることが出来ません。

その結果、気まずい沈黙が流れ、「話下手」という印象を相手に与えてしまうのです。

これこそが「話が終わったのか終わってないのか分からない」という問題点で御座います。

その点において、クラッシュの挨拶は最強のテクニックであると言えるでしょう。

クラッシュ
お前たち、最高だぜ!

どれほど微妙な終わり方であったとしても、この挨拶さえ差し込めば「話が終わった」ということを確実に観客に伝えることが出来るのです。

すると気まずい沈黙が生まれず、クラッシュが話下手という印象を与える心配が御座いません。

もちろん日常生活では、クラッシュのような挨拶を差し込むことは出来ませんが、自分の話が終わったということをきちんと相手に伝えるというテクニックは有効で御座います。

具体的には、話を疑問形で終わらせるということを心がけると良いかと良いでしょう。

疑問形といっても、毎回毎回相手に質問をしろという意味では御座いません。

「じゃね?」とか「じゃん?」というような言葉でも、語尾をあげれば疑問形に聞こえるのです。

ポイント

話を終わったことをきちんと伝える

タートルトークの本質は「イジリ」

次のテクニックはタートルトークのテクニックの中でも、もっともダークなテクニックで御座います。

特にディズニーが大好きな方からは多くの批判が来ることが予想される話なのですが、このテクニックを語らずしてタートルトークの本質を語ることは出来ません。

その本質とは「イジリ」

さて、クラッシュは登場するとまず亀の挨拶をするのですが、その際にリアクションがあまり良くない観客を見つけて、その観客を指名します。

その時の会話の流れ

クラッシュ
おやおや、どうやら俺たちウミガメの挨拶を知らなーい人がいるみたいだなぁ、その前から3列目の砂浜色の甲羅の大人の男性だぁ

ガイドさんがその男性にマイクを渡す

クラッシュ
こんにちは〜
太郎さん
こんにちは
クラッシュ
名前は?
太郎さん
太郎です
クラッシュ
太郎っていうのか〜 渋い名前だぜ

ここからクラッシュが、その人にウミガメの挨拶を教える。

クラッシュ
太郎、ありがとな〜

 

リアクションのあまり良くない観客がいなかった場合は「みんなのお手本になりそうな人」というような理由をつけて人を選ぶこともあるのですが、どのような形にせよ、ここでクラッシュが観客の1人の名前を聞き出すということが重要で御座います。

ちなみに私が見た限りでは、ここでは「大人の男性」しか選ばれていません。

もしかすると大人の男性以外が選ばれることもあるのかもしれませんが、大人の男性が選ばれやすい傾向があるのは間違い無いでしょう。

 

さて、クラッシュはこうして1人の観客の名前を聞き出すと、次は子供に声をかけます。

ここで子供に聞く質問は大きく2つ。

「どこから来たんだい?」「誰と来たんだい?」で御座います。

このうちより重要なのは「どこから来たんだい?」の方。

「八王子」でも「愛知」でも「泉南イオン」でも何でもいいのですが、ともかく観客から地名を1つ聞くことがポイントになってくるのです。

 

この流れの中でクラッシュは「人名」と「地名」という2つのキーワードを手に入れました。

それではこの2つの言葉がどのように活用されていくのかということをご説明させて頂きましょう。

クラッシュ
(今回は「太郎」と「愛知」だな……)

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