言葉足らずの真実〜笑わない女〜
古畑任三郎という刑事ドラマの第2シーズン「笑わない女」という話をご存知でしょうか?
この話の犯人は古畑から昨日のアリバイを聞かれた際にこのように答えました。
「昨日は部屋でマリア・カラス※を聞いていました」
※マリア・カラス アメリカのソプラノ歌手。20世紀最高のソプラノ歌手と呼ばれる。
流石に20年以上前のドラマなのでネタバレをしてしまいますが、犯人のこの女性は「嘘を言わない」ということを大切にしていたのでこのような発言をしたのです。
というのも彼女は犯行を行う際にわざわざテープでマリア・カラスを聞いていたのです。
つまり先ほどの「昨日は部屋でマリア・カラスを聞いていました」というのは
「昨日は(被害者の)部屋で(犯行を行いながら)マリア・カラスを聞いていました」ということ。
確かに嘘はついていませんが、極めて不適切な表現であると言えるでしょう。しかし、嘘をついていない以上、なかなか「嘘だ」と言及することが出来ないのです。
拡大解釈〜東大合格者の謎〜
・K塾 1290名
・S予備校 1409名
・Tハイスクール 753名
・3塾合計 3452名
少子化が進みますます激化する塾・予備校業界の最大の宣伝文句と言えば東大と京大に何名合格したか、ということで御座います。そのためどの塾も自分の塾から何人の生徒が合格したか、ということを大々的に宣伝をするのですが、この数字には大きな不思議が御座います。
先ほどのデータは2017年の東大の合格実績で御座いますが、昨年の東京大学の合格者は3083人。
大手三校の実績だけで、すでに東京大学の合格者の人数を超えているのです。
もちろんこの3校の他にも、かつての3大予備校の一角「Y」や埼玉の雄「E」さらには通信教育の「Z」「S」と、全ての合格者を合計したら5000人は下らないでしょう。
これは2つ以上の予備校に在籍する生徒がいることが原因で御座いますが、実はこのような合格実績はこれでもだいぶ改善いた結果なのです。
それこそ全盛期は「その塾が開催する模試」に参加したことがあるだけで合格実績に加えたりするようなこともあったそうです。
とは言えこれらの塾は別に嘘を付いている訳では御座いません。
合格実績の下にはきちんと基準が書いてありますし、模試はともかく「夏期講習に参加した生徒」ならば合格実績に加えるのも嘘と断言することは難しいでしょう。
このように「嘘ではないものの、極端に大きな解釈をしている」という方法もまた、優れた男が人に誤解を与えるために使う手段と言えることと思います。