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LGBTはどうしてここまで一般に認知されたのか

【ご質問】

自分が同性愛者か、異性愛者か、バイセクシャルかわからず悩んでいる。

そして自分が「異性愛者ではない」ということを伝えると、周りの人が引くので言えずに悩んでいる。

どうしたら良いでしょうか?

敗者は意見も許されない

ご質問誠に有難う御座います。

非常に厳しいお話をしなければなりません。

ご質問者様に私がお伝えできることは「名乗るのは勝手ですが、受け入れられるかは別問題」ということ。

受け入れてくれる方もいらっしゃるでしょうし、気持ち悪いと拒絶される方もいらっしゃることでしょう。

肯定的な方と否定的な方のどちらの方が多いかは私には分かりません。もちろん、ここ数年でLGBTへの理解は急速に広まったため、特に都心であれば受け入れてくれる方が多いとは思います。しかし、これからご質問者様がカミングアウトする相手が受け入れてくれる方なのかどうかは私には分かりません。

おそらくネット上で聞けば「そんなのは差別だ!」と平等主義の綺麗な意見を仰る方が極めて多いでしょうが、ネットでは誰もが綺麗事を言いますので、その意見が必ずしも現実とは一致していないことは覚えておくべきでしょう。

  • 自分の子供が同性愛者だったとき
  • 長年の友人から同性愛者であることを告白されたとき
  • 片思い中だった異性から「自分は同性愛者だから君とは付き合えない」と言われたとき
  • 成績も性格も能力も同じな「異性愛者」と「同性愛者」の2人のうち、1人だけを採用しなければいけないとき

こういった状況で、それでもなお同性愛者を差別せずにいられるかどうかは、実際にその場面に直面しなければ分かりません。

何のリスクもないインターネットで綺麗事を言うのは簡単ですが、その意見を現実でも同じように言うというのは極めて難しいことなので御座います。

ですので、インターネットでは「同性愛者を差別するのいけないことだ!」と主張していた方でも、実際に差別をしないかどうかは分かりません。

就職面接の場で「異性愛者」と「同性愛者」のどちらかを不合格にしなければならないとき、その時になってもなお差別を一切しない方は極めて稀でしょう。また差別というのは双方向なので「同性愛者を優遇する」という選択をしてしまう方もまた差別をしていることは忘れていけません。

そして何よりも人間は自分が差別をしていることには極めて鈍感で御座います。

客観的に見て明らかに同性愛者を差別をして落とした方も「自分は差別をしておらず、能力の差でそちらを落とした」と言うことでしょう。そしてこれはその方の中では真実なのです。どれだけ差別をしていても、本人は「自分は差別をしていない」と本気で思い込んでいるので御座います。

同性愛者のことをどう思うか?

私はLGBTQの方々のことを「どうでもいい」と思っております。

可哀想とも思わないし、かと言って特別だとも思わない。

もちろんこれは私の自己認識であり、実際の私はLGBTQの方々に対して何かしらの差別的な行動をとってしまっているかもしれませんが、少なくとも自己認識においては「どうでもいい」と思っております。

しかし今申し上げた通り、実際に私がLGBTQの方々に対してどんな行動を取るのかは、その場面に直面して見ないと分からないでしょう。

例えば、自分の彼女がバイであったり

例えば、自分の子供がゲイであったり

例えば、自分の親友がレズであったり

例えば、自分の部下がトランスジェンダーであったり

そういう時に、どう行動するのか、というのはその時になってみないと本人すら判りません。

言うのは勝手だが、受け入れられるかは別問題

もしも私がゲイであったら、少なくとも必要な場面にでもならない限り、自分からそれを誰かに言うことは無いでしょう。

と言うより、そもそもこうして偉そうなことを言っている私は自分の性指向について口にしたことは御座いませんので、ゲイであることを誰にも言っていないだけかもしれません。

さて、それが良いことか悪いことかはともかくとして、少なくとも現代の世界において「LGBTQ」であることを告白するメリットはあまりないと私は思います。

これは「LGBTQ」に限った話では御座いません。例えば私が「猫耳メイド」にしか興奮しない人間だったとして、果たしてそれを口にするでしょうか?

仲の良い友人と猥談で盛り上がりでもすればそんな話をするかもしれませんが、少なくとも職場で「実は私は猫耳メイドにしか興奮しないんですよ」なんていうはずがありません。

先ほど申し上げた通り、私はLGBTQのことを「どうでもいい」と思っておりますが、これはこういう意味で捉えて頂ければ幸いです。私にとって「ゲイ」と言うのは「猫耳メイドにしか興奮しない人」と同列の存在なのです。本人が何を好き好んでいようが好きにすれば良い話では御座いますが、何の文脈もなくいきなりそれを職場でカミングアウトされたらこちらも困ってしまうのです。

ですのでご質問者様がどうしてLGBTであることを周囲にカミングアウトしたいのかは知りませんが、特に必要もないのに自分の性癖を急に語り出したら、それは引かれる可能性も高いでしょう。

それはご質問者様がLGBTだからでは御座いません。

いきなり自分の性的志向を語り出すのは、どんなものであれ基本的にドン引きされるのです。

受け入れないのも勝手

世界は広いもので、この世界にはちょっと変わった性癖などいくらでも存在いたします。

死体にしか興奮しないネクロフィリア。

ドラゴンが車とセックスをしていることに興奮するドラゴンカーセックス。

動物にしか性的興奮をしない獣姦。

他にもいくらでも存在いたしますが、ここでは仮に私が「動物と性行為をするのが大好きな獣姦マニア」だったとしましょう。

獣姦は一般的にあまり受け入れてもらえる性癖では御座いませんが、少なくとも「誰にも迷惑をかけておらず(人間には)」「違法行為でもなく」「先天的なものであり努力で変えられるものではない」という意味ではLGBTQと大差はないでしょう。

それでは私が「実は動物とするのが好き」と告白して友人を失ったら、それは社会的に許されないことなのでしょうか?

少なくとも私はそれを悪だとは思いません。

もちろん「こいつはキモいから殴ろうぜ!」というように明確な犯罪行為があれば話は違います。しかしそれは「殴る」という行為が暴行罪だから許されないのであって、「動物とするなんて気持ち悪いから、ちょっと距離を置こうぜ」ということが許されないとは思えません。

もしもそれを許されないこととするのであれば、世界中の全ての人間と仲良くしなければならなくなってしまうことでしょう。「あいつは性格が合わないから距離を置こうぜ」も「あいつは動物とするから距離を置こうぜ」も本質的に何の違いも御座いません。

言及されるべきなのは差別に伴う「加害行為」や「不当な経済損失」であって、「精神的に受け入れられない」ということを言及すべきではないと私は考えております。

差別というのは特定の集団に対して特別な扱いをすることで御座いますが、許される差別と許されない差別の差はここにあるのではないでしょうか。

特定の集団に対して、特別な扱いをすること自体は問題では御座いません。問題なのはその特別な扱いが暴力行為などに発展した場合の差別であり、単純に受け入れられないという差別には問題がないと私は考えております。

LGBTQはなぜここまで普及したのか

現代社会がLGBTQにとって住みやすい社会かどうかは分かりませんが、少なくともここ10年20年ほどでLGBTQへの理解が急速に広まったのは間違いないでしょう。

それではいったいなぜここまでLGBTへの理解が広まったのでしょうか?

「ダイバーシティは重要だから」

「差別は時代遅れだから」

そんな理由を想像されるかもしれませんが、私は本質的に1つの理由しかないと考えております。

その理由とは「強くなったから」

そもそもLGBTQが物凄く弾圧されていたのはキリスト教に代表される西洋文明が中心であり、その根拠は間違いなく聖書でしょう。旧約聖書でヤハウェが「男と女が結ばれるべき」と言ったと書いてあるからこそ、キリスト教やイスラム教では同性愛が差別されてきました。

つまり中世の同性愛者が物凄く弾圧されていたのは、ただただ「弱ったから」なのです。キリスト教という圧倒的な強者に対して、同性愛は相対的に弱い存在で御座いました。だからこそLGBTQの方々は差別され、弾圧され続けたのでしょう。

しかし、キリスト教の力が弱まり、さらに資本主義とネットワークの発展もありLGBTQは急速に力を付けました。

一般に普及したから強くなったのではなく、強くなったから一般に普及したのです。

ダイバーシティだの何だのはまるで重要な話では御座いません。もしもダイバーシティが重要視され始めたということが先にあるのであれば、獣姦を愛好する者たちも同じように認められたことでしょう。しかしそうならなかったのは獣姦を愛好する者たちに力がなかったから。

その力の源は何と言ってもその数でしょう。

LGBTの割合は約10%と言われておりますが、これは圧倒的な数としか言えません。日本で言えばAB型の割合とほぼ同じなのですから、どう考えたって圧倒的な勢力でしょう。

さらにこれまで弾圧されていたので「可哀想」という同情を買いやすかったのもまた、LGBTの力の源になっているのは間違いありません。

敗者は意見も許されない

重ね重ねになりますが、私はLGBTQのことを「どうでも良い」と思っております。

しかし今、この世界で「LGBTは気持ち悪い!」と言ったらどうなるでしょうか?

間違いなく差別主義者のレッテルを貼られ、社会から弾圧されることでしょう。

別に私は自分が差別主義者と呼ばれようとも、レイシストだと蔑まれようとも構わないのですが、1つだけどうしても覚えておいて頂きたいことが御座います。

LGBTは力なき弱者だから、差別してはいけないのではありません。

LGBTは圧倒的な力を持つ勝者だから、「差別主義者という敗者」は、彼らに屈服し差別をなくさなくてはならなくなっているだけなのです。

「弱者である」という同情と圧倒的な数という力で戦いに勝った強者が、強がっているものの味方が少なく誰からも共感を得られないレイシストという弱者を叩き潰した。だから今日の世界ではレイシストには事実上発言権がないのです。敗者は意見をすることが許されない、勝者に屈服し屈従しなくてはならない。

別に私はレイシストの皆様に同情するつもりは御座いませんが、今のこの地球上で一番の弱者は「レイシスト」であると考えております。

彼らは一見強そうに見えますが、勝負に勝つことが出来ません。

弱いものが敗者なのではなく負けたものが敗者であり弱者なので御座います。

レイシストが倫理的に道徳的に正しいか間違っているか。

リベラリストが倫理的に道徳的に正しいか間違っているか。

そんなことは重要ではありません。

リベラリストが勝ち。

レイシストは負けた。

だからリベラリストが強者でレイシストが弱者である。

だからレイシストには発言権はなく、リベラリストはレイシストの生殺与奪を握っているのです。

ただそれだけのことなのです。

強者と勝者に求められること

別に私は誰かを差別するつもりもなければ、今この世界に蔓延っている差別を肯定するつもりも撲滅するつもりも御座いません。

私が主張したいことは1つだけ。

この世界に存在する様々な弱者と呼ばれる存在の皆様が、もし自分の主張を押し通すことに成功したのなら、それは自分が「弱者」だから押し通すことに成功したわけでは御座いません。

「強者」だから押し通すことに成功したのです。

このことだけご理解頂ければ幸いです。

なぜ私がこれを伝えたいのかといえば、人は「自分を弱者と思い続けていると、人を叩き潰したという罪悪感に苛まれることがないから」で御座います。

「自分は”弱者に見える”という武器で”強者に見える存在”との勝負に勝ち、彼らを叩き潰した」という意識がないと、人は自己を顧みない、もしかして自分が間違っているのかも?と疑問を抱かない、だから破滅するまで相手を殺してしまう。

武器として「自分は弱者である」ということを振りかざすのは構いませんが、その武器で勝っているのならば「自分は強者」であるということをどうか忘れないで頂きたいのです。

「自分が弱者であり、強者という悪と戦っている」と思い続けて戦うと、一切の罪悪感を抱かずに、相手を駆逐してしまう。

その危険さをどうか忘れないで頂きたく思います。

私は何もレイシストを否定するなと言いたいわけでも、LGBTが悪だと言いたいわけでも御座いません。

私が言いたいことは一つだけ

もし弱者という武器でレイシストを駆逐するのであれば、その時は「自分は強者だから彼らを屈従させることが出来る」ということを忘れないでほしい、ということで御座います。

可哀想で不憫な弱者が、みんなの力を借りて悪の枢軸レイシストを倒した!みたいな子供の夢物語を語るな、と言いたいのです。

この世界には「正義の弱者」が「悪の強者」を倒すなんていうことは存在致しません。

何故ならば、正義の弱者が、悪の強者に勝ったのであれば、それはすでに正義の強者が、悪の弱者を駆逐しているという状況になっているから。

つまりLGBTの件で言えば、LGBTという強者が、レイシストという弱者を叩き潰しただけに過ぎないというを忘れないで頂きたいのです。

正しさなんてものは立場や時代によって変わるのです。

いつだって人類に大災害をもたらす事件を起こすのは「自分のことを弱い被害者だと思っている圧倒的な強者」に他なりません。

最後に

・私はLGBTを差別するつもりは御座いません。

・LGBTという強者が、レイシストという弱者を叩き潰したとしても、それは善悪とはまた別の問題です。

・私がこのコラムで言いたいことは1つだけであり、それは「人を叩き潰す時は、常に自分が勝者という強者であることを忘れないでほしい」ということで御座います。

・「それでも我々は弱者だ」と仰る皆様には、私がなぜこの補足を書かなくてはいけないのか、ということを考えて頂ければ幸いです。皆様が取るに足らない弱者であったのならば、私はこの補足を書いておりません。



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