【ご質問】
昨日勇気を出して告白した男性に「まだ、これから先の見通しが立たない。学業やアルバイトで予測不可能なほど忙しくなっているし、心から好きなあなたに誠実に向き合えないのが嫌で、今は付き合えない、友達のままが良い」とふられてしまい、このまま彼を想い続けていいのか悩んでいます。
普通に出会った男性にこのような対応をとられたのであれば即諦めるのですが、私と彼の場合はバックグラウンドが特殊なのです。彼とは学生の頃に親しかったのですが、あることがきっかけで喧嘩し、私が突き放す形で関係が終わりました。
数年経ってから(私がとある事情で男性が苦手になっていた時期に)たまたま声をかけてきたのが彼でした。「今は男性を信じられないから、会いたくない」と拒絶した私に「友達からでいい、忘れられないから会ってもう一度だけ話したい、あなたを傷つけるようなことは絶対にしない」と誠心誠意向き合ってくれたため、再び会うことを決意し、何度かデートを重ねました。
再会した彼はとてもしっかりした男性で、驚くほど話も価値観も合いました。隣にいると落ち着き、気がついたら「この人に“男性として”横にいてほしい」という気持ちが強くなっていました。
ですが彼は5回目のデートでも告白してこず、指一本触れてくるようなこともありませんでした。進展が無いことに我慢できなくなり、ついに昨日勇気を出して告白したところ、初めに述べたような返事をされました。
告白の前に「次いつ会えるか、あなたの誕生日は祝えるだろうか」と聞きましたが「分からない」とはぐらかされていて、嫌われたのかもな、とも思いました。しかし、告白した時は泣いていたし、別れ際に恐る恐るといった感じで抱きしめられました。
別れてから「勇気が必要だっただろうに、想いを伝えてくれてありがとう。またいつか会いたいです」と連絡が来ました。彼の気持ちが本当に分からないのです。
彼が本当に不器用で、仕事と恋愛を同時に進めることができないからこそ、誠実な対応として断ったのでしょうか。
彼の目線の話
高校生の頃、僕はエイペックスで1人の女性と仲良くなった。
一緒にゲームをしている中で、僕は彼女に恋をした。今だから分かるけど、別にそんなに綺麗なものでも大層なものでもない。仲良くしてくれる女の子が彼女しかいなかったから、彼女のことを好きになった。それ以上でも以下でもないと思う。思春期の恋愛なんて自覚の有無を除けばみんなそんなもんだ。
僕は彼女と付き合うため、彼女と会うことにした。幸いにして彼女は会ってくれるそうだ。
しかしデート中に告白……いやあれは告白と呼べるものだったのだろうか。不器用な男子高校生の精一杯の告白なんて、傍目から見れば信じられないほど気持ちが悪い。。
「へー……彼氏いないんだ……俺とか……どう?」
こんな告白でOKする子なんていないだろう。僕だって嫌だ。せめてハッキリ「好き」と宣言するべきだった。だけど当時の僕にそんな勇気がなかったことは今の僕が1番よく分かっている。いずれにしても彼女はそれに怒って、2度と一緒にゲームをすることは無くなった。
別に大した失恋でもない。とりあえず彼女が欲しいから、1番可能性の高そうな女性を狙っただけだ。その瞬間は本気でも、何年も尾を引くようなものじゃない。
その後、僕は大学に進学し可愛い彼女もできた。バイト先のベンチャー企業の仕事も楽しい。充実した大学生活を送っている。
そんなある日、僕は久しぶりにエイペックスを起動した。なんでかって?コロナのせいで大学が閉まって暇だったんだ。
久しぶりのエペ。バージョンアップで操作がおぼつかない。かつてはあれほど飲めり込んでいたというのに、大人になるってこういうことか?
これを最後にしよう。次やって勝てなかったらもうやめよう。
そう思ってマッチすると、そこにはどこかで見たことのあるIDの子がいた。
なんだろう、見覚えがある。あれは確か……数年前……
「あの子、まだゲームしてたんだ……」
久しぶりに見る名前に心が躍る。そういえば告白っぽいこともしたっけ?あの時の俺って下手くそだったよな。
コロナで大学が閉まってからと言うもの、友人たちはみんなオンラインで女性と出会っていた。中には彼女を作るものもいる。だがその多くはワンナイトやセフレだ。そんな友人たちを見て少なからず羨ましいと感じていた。
0から口説くより、すでに関係性がある人を口説く方が楽。ダメなら別の人を狙えばいい。
だが数年前ぶりに会った彼女は、少し変わっていた。
何があったのかは知らないけれど、どうやら男性不信なようだ。それなら会えないか……って会えるの!?
一体何がどうなってるんだ。まぁ会えるならいっか。とりあえず会おう。
数年ぶりに再会した彼女は、あの頃よりも可愛くなっていた……ような気がする。もちろん可愛くはあるのだけど、あの時のような胸のときめきは湧いてこない。僕が過去を理想化し過ぎているのだろうか。
数年の月日の中で、僕は少し大人になっていた。社会人に混ざって仕事をしていると、処世術のようなものを学ぶ機会も多い。
相手の話には同意する。
否定はしないように注意する。
そこまで言葉数を喋る必要はない。
危ない話に踏み来ない。
この世にいる人間はみんな一人一人違った価値観を持っている。だからありのままの自分の姿で話そうものなら、あっという間に喧嘩になるだろう。別に相手を騙そうとやっているわけじゃない。相手と喧嘩をしないためにつく嘘は、嘘というより配慮のようなものだ。
僕の目から見ても明らかなほど、彼女はあっという間に僕に惚れた。別に惚れさせようとしたわけじゃない。普通に喋っていただけだ。それなのに昨日まで男性不信と言っていた女性は、いとも簡単に僕に惚れた。
その瞬間、僕の恋心は一気に消え去ってしまった。
別に彼女のことが嫌いになったわけじゃない。だけど彼女と付き合いたいという感情は申し訳ないが無くなった。
普通に遊ぶ分には構わない。それでも恋人になりたいとは思えなかった。
この感覚は女性の君には分からないかもしれない。勘違いしないで欲しいんだけど、軽い女は遊ばれるとか、ちょろい女はつまらないって話じゃないんだ。
例えばさ「起業で世界を変える!」と叫んでいた男が、一流企業からお誘いがあった途端に就職したらどうだろう。それに近い感覚かもしれない。一流企業に入社することは普通だし、世界を変えると夢を語ることも素晴らしい。
だけどその2つを1人の人間が言っていたら、その男に少なからず軽蔑してしまうんじゃないだろうか。今の僕の気持ちはそれに近い。
とは言え、別に嫌いになったわけじゃないし、彼女と遊ぶのがつまらなくなったわけでもないんだ。
5回目のデート。
彼女は突然、切り出した。
「あなたの誕生日を祝えますか?」
ほとんど告白みたいなセリフ。気持ちは有難いけれど、誕生日は彼女と会う予定だ。適当に言葉を濁しておこう。
彼女が僕に惚れてるのは薄々わかってはいた。それでも5回遊んでしまったのは僕の甘えだ。これ以上は彼女のためにも距離を取るべきだろう。
「貴方のことが好きです」
予想に反して、彼女はその日のうちに行動に移した。
まさか告白されるとは。思わず感極まり、涙が出てくる。告白をOKするつもりは全くないけれど、それでも女性から告白されるのは嬉しい。
だけど、彼女には悪いが彼女と付き合うつもりはない。彼女はいるし、仮にいなくたって僕は彼女を恋人にしたりはしないだろう。
別に僕は何も悪いことはしていない。何せ僕は「彼女がいない」なんて一言も言ってはいないし、それに手を出したわけでもないのだ。これで恨まれちゃお門違いだろう。だけど、彼女は僕をもしかしたら恨むかもしれない。それはそれで仕方ない。
ともかく、きちんと彼女に距離を置く旨を伝えないと。
「またいつか会いたいです」
大人の世界で「いつか」は永遠に来ない。大人なら誰もが知っている常識だろう。
そんなに難しいことじゃない。何せ僕と彼女は未だにネットでしか繋がりがなく、共通の友人もいないのだ。連絡を絶ち、彼女からの誘いを適当に断れば、彼女もいつか僕のことなど忘れることだろう。
1度は偶然、2度は奇跡、3度は作為
かつて私が大学生だった頃、スパイ論を研究している教授からとある言葉を教えて頂きました。
「街中で偶然出会うことはある。それが2度続けば奇跡だ。だけど3度目があったらそいつは敵だ。」
今回のご質問文には小さな違和感がたくさん御座いました。1つ1つは小さな違和感で御座いましたが、数があまりにも多い。先ほどの話はその違和感にできる限り合理的に説明がつくように私が考えたストーリーで御座います。
まず私が最初に引っかかったのは、現時点で2人の社会的立場が異なるということで御座います。
彼は告白を「学業とバイトが忙しい」という理由で断ったそうなので、その時点で彼が学生なのは確定でしょう。一方でご質問者様は「彼とは学生の頃に親しかった」と書かれていることから、すでに学生という身分ではない可能性が極めて高いと考えられます。
勿論、違和感がこれだけであれば気にするようなものでも御座いません。学生と社会人の恋愛なんてこの世にいくらでも御座います。
彼の評価が現在形
彼と再会した時、ご質問者様は彼のことを「再会した彼はとてもしっかりした男性で、驚くほど話も価値観も合いました。」と評価しております。
再会をしたのであれば普通ここは「しっかりした男性に”なっていて”」と書くものでしょう。また「価値観も合う」という表現もなかなか妙なもので御座います。かつては合わなかったのでしょうか。
とはいえこれもまた、これだけであればそこまで気にするような違和感では御座いません。
友達ではない
彼は「友達からでいい」と言ってご質問者様と会ったようなのですが、これもかつて友達だった相手に言う言葉では御座いません。
友達以下の関係であった相手か、もしくは恋人のような友達以上であった相手に使う言葉でしょう。
とは言えこれもまた、これだけであればそこまで気にするような違和感では御座いません。
恐らくネットで会っている
彼は「忘れられないから会ってもう一度だけ話したい」と言ったそうなのですが、一体何を忘れられないと言うのでしょうか。一般的にこれはかつて恋人だった相手に使う言葉で御座います。
またこの言い回しからして、彼が声をかけてきたのはオンラインであり、街中で偶然会ったというわけではないように感じました。「会って話したい」という言葉からは、「実際に会ってはいない」からこそ出てくる言葉で御座います。
とは言えこれもまた、これだけであればそこまで気にするような違和感では御座いません。
たまたま?
「たまたま声をかけてきたのが彼でした」
これは相当違和感の残る言い回しでしょう。「彼がたまたま声をかけてきた」であれば違和感は少ないのですが、この言い回しではまるで「街中でナンパされて振り返ってみたら、あの時の彼だった」みたいに聞こえてしまいます。そんなこと私の人生にはこれまで1度も御座いません。
とは言えこれもまた、これだけであればそこまで気にするような違和感では御座いません。
デートしてない?
「再び会うことを決意」という部分。これは本当に微かな違和感なのですが、どうにもかつて学校で同級生であった相手に使う言葉としては違和感が残りました。
「再び会う」ということは、かつてご質問者様は彼と「会って」いたのです。勿論、学校で仲の良い友人関係であっても「会う」という表現を使わないわけではありません。しかし、どうにも私はこの「会う」という言葉が「予定を合わせて休日に出かける」というようなニュアンスを含んでいるように感じてならないのです。
とは言えこれなんて、ほんとんど言いがかりのようなものでしょう。これだけであれば気にするような違和感では御座いません。
一方的に終わらせた
「あることがきっかけで喧嘩し、私が突き放す形で関係が終わりました」
一般的に友人関係は一方的に終わらせるようなものでは御座いません。一方的に終わらせるのは「恋愛関係」と相場が決まっております。
また「あることがきっかけ」と濁しておりますが、男女が決別するほどの喧嘩をする原因もまた色恋沙汰と相場が決まっているでしょう。
しかし、もしもお二人が同級生のような関係であれば、恋愛トラブルがあっても簡単に関係を終わらせることは難しいかもしれません。共通の友達もいるでしょうし、嫌でも学校で顔を合わせることになるので御座います。
2つの「とある」
今回のご質問文には2つ、ご質問者様が明確に隠している部分が御座いました。
それが「かつて彼と喧嘩した理由」と「ご質問者様が男性不信になった理由」で御座います。
ご質問者様がわざわざ隠している部分に踏み込むようで申し訳ありませんが、この部分にも少し触れさせて頂きましょう。
私が知る限り、親しい男女が揉める理由は「色恋沙汰」と相場が決まっています。そして女性が男性不信になる理由も多くの場合において「色恋沙汰」でしょう。つまりご質問者様が意図的に隠した部分はどちらも恋愛関係であると予想させて頂きました。
かつてご質問者様は彼を突き放すことで、彼との関係を終わらせた。ということは少なくともご質問者様の目線では「彼がご質問者様を傷つけるような行動を取った」ということでしょう。
そしてご質問者様と再会する際に彼が口にした言葉。
「あなたを傷つけるようなことは絶対にしない」
私は31年生きましたが、私はこんな言葉を口にしたことが御座いません。そんな言葉がどうして彼の口から飛び出したのか。
文脈から考えるに、彼がこのセリフを口にする前にご質問者様は「男性不信」の話をしたのでしょう。だとすれば彼が言う「傷つけること」とは一体何か。女性が男性不信になる原因は「彼氏の浮気」「親の離婚」そして「性的暴力」の3つのいずれかであることが圧倒的に多い。ご質問者様の恋人ではない彼は浮気のしようがありませんし、彼はご質問者様の親では御座いません。
どれもこれもそれだけならば気にも留めないような小さな違和感でしょう。しかし、古畑任三郎警部補も言っておりました。「偶然が重なっていいのは3つまでだ」と。何せご質問者様は全体的に文章がお上手なのです。つまりこれはただの表現の揺れや書き損じが重なったわけではなく、書かれていない何かしらの真実があると考えたほうが良いでしょう。
発言よりも行動
エイペックスなのかPUPGなのかフォートナイトなのか。それともインスタなのかライブ配信なのかYouTubeなのかは分かりません。
しかしご質問者様と彼はオンラインで出会い、そして数年後に再び彼からオンラインで声をかけられたのではないでしょうか。
全ては私の推測に過ぎません。しかし、ご質問文の数々の違和感はこうでもしなければ解消できませんでした。
さて、それでは最後にご質問に回答させて頂きましょう。
まず彼が指一本触れてこない件ですが、これは失礼ながらご質問者様の認知に問題があると言えるでしょう。
何せご質問者様は「男性不信」と言って彼と会っているので御座います。明言はしませんが、おそらくはそういうことが誰かとあり、彼にも少なからずその話をしたのではないでしょうか。
そんな状況で簡単に手を出してくる男性がいたら、そっちの方が驚きで御座います。ご質問者様を非難するつもりは全く御座いませんが、ついさっきまで「男なんて信じられない」と言っていた友人が、数週間後に「彼が手を出してくれないの……」と言い出したら「おいおいどうした」と思うのではないでしょうか。
つまり彼に好意があろうとなかろうと、彼が手を出してこないのは当然と言えるでしょう。むしろ「男性不信」と言っている女性にポンポン手を出してくる男性がいたら、そっちの方が警戒しなくてはなりません。
次に毎回必ず奢るということですが、こちらもまた重要な情報にはなり得ないでしょう。私がそうですが、女性と会うときは相手が誰であれ基本的に全額私が払います。まして彼は予測不可能なほどバイトをしているそうですから、女性のご飯代を出すくらいの余裕はあるでしょう。男性が奢るかどうかは好意よりも、男性の性格で決まるのです。
重要なのは彼が「なりふり構わず合おうとしたこと」「5回デートしたこと」「彼が告白を断ったこと」「誕生日の話を濁したと」ことの4つだけ。
恐らく彼もご質問者様と実際に会うまでは、友達以上の関係になることを望んでいたことでしょう。それが恋人なのかセフレなのかワンナイトなのかはわかりませんが、少なからず下心があったのは間違い御座いません。友達になりたい人間は「友達からでいい」なんて言うことはないので御座います。
しかし実際にデートをしている中で、彼の中のそのような気持ちは消えてしまったのでしょう。恐らく決定的だったのはご質問者様が彼に惚れたこと。惚れるのが悪いのではなく「男性不信」と言っていたにも関わらず、手のひらを返すように惚れてしまったことに彼は気持ちが冷めてしまったのだと思います。
それを決定的にハッキリとさせたのが、告白を拒絶したこと。
泣こうが抱こうが、そんなことは瑣末な問題に過ぎません。彼が告白を断ったというその事実だけが重要で御座います。
仕事が忙しいから付き合えないということが無いとは言いません。しかし付き合えないほど忙しいのであれば、どうしてご質問者様とデートが出来ているのでしょうか。