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別れを切り出す強くて優しい人

【ご質問】

付き合って1ヶ月程度の彼女がいます。

連絡をあまり取らない人で、お互い仕事の休みも合わない状況でした。

最近その連絡が更に頻度がへって正直別れたいのかなと思い聞いてみました。

そしたら、あなたは私より見合う人がいるんじゃないか、でも別れたいか別れたくないのかわからないと言われました。

周りからどう言われたとか何を考えてしまったのかわかりませんが、別れたいか別れたくないかわからないと言う気持ちはどういうことなのでしょうか?

こっちから別れをはっきりと切り出して欲しいのかなーと感じでいますが正直相手の気持ちがよくわかりません。

【回答】

ご質問誠に有難う御座います。

太平洋戦争が勃発してしまった理由を一言で表すことは出来ませんが、その契機の1つに「ハル・ノート」の存在があるのは間違い有りません。

ハル・ノートというのはアメリカの国務大臣コーデル・ハルが日本に提示した交渉文章のことであり、正式には「合衆国及日本国間協定の基礎概略」というもので御座います。その内容は4つの原則と10項目の具体的な措置なのですが、この内容は日本に対して非常に厳しいものであり、日本としてはとても飲めるものでは御座いませんでした。

当時と今では世情が違いますので正確に表現することは出来ませんが、ハル・ノートの内容を現代風にアレンジすると「日米安保を破棄した上で、北海道を寄越せ」と言われているようなものなのです。百歩譲って条約の方はともかく、領土をよこせと言われて「はい、わかりました」なんて言えるはずもありません。

その結果、日米の交渉は決裂。日本は1941年12月7日に宣戦布告をし、真珠湾に奇襲を仕掛けました。

ハル・ノートの評価は人によって分かれますが、東京裁判の判事の1人であるラダ・ビノード・パール(インド代表)はハル・ノートのことをこのように言っております。

このような通告をされれば、モナコやルクセンブルクであってもアメリカに宣戦布告をしたことだろう

もちろんアメリカだってバカではありませんので、ハル・ノートを突きつければ日本が宣戦布告をしてくることくらいは予想をしておりました。

そうにも関わらずアメリカがハル・ノートを突きつけてきたのは、アメリカ政府が日本との戦争を望んでいたからに他なりません。

しかし当時のアメリカ国民は戦争をあまり望んでいなかったので、アメリカ政府としては「相手が仕掛けてきたから仕方なくやった」という建前が必要でした。そのため日本が宣戦布告をするしかないような状況に追い込み、あくまでも被害者という立場で戦争に参戦することを画策したのです。

これは何もアメリカに限った話では御座いません。

世界中のほぼすべての戦争は「被害者」という立場から始まります。

「あいつらの領土や資源を奪ってやるんだ!」なんていう加害者感を出しまくった体裁で戦争をする国などおりません。戦争をする国はみな「可哀想な被害者である我々が、正当な権利を取り戻すために”仕方なく”戦争をするのだ」という体裁を掲げるのです。

太平洋戦争のハル・ノートなどは非常に分かりやすい例ですが、それ以外の戦争も基本的には「被害者面」をして戦争を仕掛けているものでしょう。太平洋戦争を仕掛けた日本だって「欧米によって侵されたアジアの権益を守る!」という「被害者面」で戦争をしかけておりますし、第二次世界大戦のドイツも「ヴェルサイユ条約によって不当に苦しめられたドイツ人のために、正当な権利を回復する」という「被害者面」で戦争を仕掛けているのです。

「俺たちは悪者だ!お前らの領土と金を寄越せ!」なんていう加害者面をして戦争を仕掛ける国など存在致しません。

客観的にはそうとしか見えなくとも、仕掛ける本人たちは理屈をこね回し「俺たちは被害者だ」と主張をするのです。

被害者になりたい

それでは一体なぜ我々はここまで被害者になりたがるのでしょうか?

これは人間が「正義でありたがる」ということによるためでしょう。

被害者と加害者を比較すれば、誰もが加害者を「悪」と断定します。

つまり逆説的に被害者は正義。このような構図があるからこそ、私達は被害者になりたがるのです。

もちろん本当に被害者であるのであれば、それは守るべき対象なのかも知れませんが、問題なのは加害者すらも自分が被害者であるかのように振る舞うということでしょう。

たとえば最近話題の映画ジョーカーだって、客観的に見ればジョーカーはただの人殺しの犯罪者でしかありません。

しかしたとえ犯罪者であっても「自分はこんなにも可哀想な存在なんだ」ということを主張して、被害者になることができれば味方を集めることが出来るのです。

恋人を振るのは強い人

それでは今回のご質問に戻りましょう。

断言させて頂きますが「好きかどうか分からない」はすでに好きではありませんし、「別れたいのかどうか分からない」は別れたいと思っています。

ですので今回の彼女様は99.9%別れたいと考えていると頂いて間違いありません。

それでは彼女は一体なぜ自分から別れを切り出さないのでしょうか?

おそらくそれは彼女の中に「被害者でありたい」という気持ちが存在するからでしょう。

一般的に「振った側」と「振られた側」であれば「振られた側」が被害者になります。詳しい状況を考えれば振った側が被害者であることも往々にしてあるのですが、世間はそんな詳しい事情を知らないので「振られた側」を被害者として判断してしまうのです。

ですので彼女はご質問者様との連絡頻度を減らしたり、「好きかどうか分からない」というような曖昧な言葉を使うことで、ご質問者様の方から別れを切り出すことを望んでいるのでしょう。

まさに日本から宣戦布告をされたいアメリカがハル・ノートを突きつけたのと同じ御座います。

そうしなければ自分が被害者であることが出来ないからこそ、あくまでも「相手がやったから仕方なく」という体裁を保ちたがっているのです。

もちろん彼女様がこんな面倒なことを考えているとは限りません。

おそらく彼女様は本当に「別れたいかどうか分からない」や「別れたいけど、彼に別れを告げるのは申し訳ない」と考えていることでしょう。しかしその思考の本質の部分では、彼女は被害者でありたいのです。被害者になるために、自分が被害者になりたがっているという気持ちすら考えないようにしていると言えば分かりやすいでしょう。

恋人を自分から振ることが出来るのは、強い方だけなのです。

弱い人間は自分が悪者になってまで人を振ることは出来ず、相手から離れるように必死で冷たい態度を取ることしか出来ません。

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