7つ道具
先程の数式は集合という概念で使用される数式ですが、これを簡単に説明させて頂きましょう。
簡単に言えば「〇〇な人」と「〇〇ではない人」を合わせれば全員が該当する、という意味で御座います。
例えば「カレーが好きな人」という条件で考えてみましょう。
日本にはカレーが好きな人もいれば嫌いな人も存在しますが、日本人は全員「カレーが好き」か「カレーが好きではない」のいずれかの属性に分類されます。
つまり
日本人全体=カレー好きな日本人+カレーが好きではない日本人
という数式が成立するのです。
この法則をバーナム効果にも利用しましょう。
つまり「あなたは〇〇です。もしくは〇〇ではありません」という文章構造にすればどんな内容にしたとしても100%該当するのです。
- あなたは20代です。もしくは20代ではありません。
- あなたは女性です。もしくは女性ではありません。
- あなたは神奈川県小田原市出身です。もしくはそれ以外の出身です。
しかし、この方法を使うと全ての人に該当するのは間違いないのですが、見ての通り「頭が悪すぎる表現」になってしまいます。
そのためこの方法を使用する場合にはもう一工夫加える必要が御座います。
それこそが「実は」「意外と」「逆に」「妙なところで」「細かいところで」「ある意味」「たまに」の7つ。
この7つで味付けすることにより、同じことを言ってもそれなりにまともな表現になるのです。
普段は雑だけど意外と几帳面
それでは早速実例を考えてみましょう。
「あなたは雑です。もしくは几帳面です」
これは先程の「Aな人」もしくは「Aのではない人」構文を少し弄った文章で御座いますが、これだけでは「あたりまえやんけ」と思われてしまうのは避けられません。
それではここで「実は」「意外と」「ある意味」「逆に」「妙なところで」「細かいところで」「たまに」の7つを使って味付けをしてみましょう。
「一見すると雑だけど、実は几帳面なところあるよね」
「普段は雑だけど、意外と几帳面だよね」
「確かに雑だけど、それってある意味几帳面だよね」
「雑な人って逆に几帳面なときあるよね」
「結構雑なのに、妙なところで几帳面だよね」
「雑なくせに、細かいところで几帳面だよね」
「だいたい雑だけど、たまに凄く几帳面だよね」
これは厳密には「Aな人」もしくは「Aではない人」構文から違う意味になってしまっていますが、日常会話では数学のような厳密さは求められません。
「前半部分と後半部分で全く逆の内容を言っているのに、なぜか違和感がない」ということが重要なのです。そのルールさえ満たすことが出来れば、あとは相手が勝手に「(確かにそうかも……)」と思ってくれるのです。
注意事項
さて、それでは最後にこのテクニックを使う場合の注意事項をお話させて頂きたく思います。
まず「Aな人」もしくは「Aではない」という構文を使用する場合、基本的には「Aではない」側がポジティブな意味になるようにした方が良いでしょう。
例えば先程の「雑」「几帳面」であれば、几帳面のほうがポジティブな意味になります。
ですのでこの場合は「几帳面」を後ろ側にした方が良いと言えるでしょう。
この理由は順番を逆にして見れば簡単にお分かり頂けることと思います。
A「普段は雑だけど、意外と几帳面だよね」
B「普段は几帳面だけど、意外と雑だよね」
Aは「あなたは周囲から雑だと思われているけど、私はそんなあなたの几帳面な部分を理解しています」という相手を肯定する内容になっておりますが、Bは「あなたは几帳面だと思われているけど、そんなあなたの雑さを私は見抜いている」という否定的な内容に取られかねません。
もちろんあえてBの方法を取って相手のM心を擽るというテクニックも御座いますが、それは高等テクニック。基本的にはAの方法を取ったほうが良いでしょう。
Aの方法をとった場合「下げて上げる」という構造になるのです。この上げ幅も非常に効果的になるので、基本的にはAのだけを使っていても問題ありません。
次にこのテクニックを使用するタイミングについての注意事項です。
まず全てのテクニックに言えることですが多用は厳禁。ここぞというタイミングで使用するからこそテクニックが活きるということをご理解くださいませ。
また人は「相手から理解されたい」という感情を持っている半面で「お前は〇〇だ!」と断言されることを非常に嫌います。ですのでこのテクニックを使うときは気持ち疑問系に近い形にすると良いでしょう。
「普段は雑だけど、意外と几帳面だよね!」ではなく
「普段は雑だけど、意外と几帳面だよね(軽く語尾を上げる)」
というように使用したほうが良いのです。
そして最後にこのテクニックが最も活用できる場面を紹介させて頂きましょう。
このテクニックが最も活用できる場面、それは相手の友達がいる場面で御座います。
例えばAさんという女性を口説きたいと考えているとしましょう。
その場合、AさんとAさんの友達のBさんがいるような場面こそが最もこのテクニックを活用できます。
というのもこのテクニックはそもそも構造的に絶対に当たるテクニックなのですが、当たっているからと言って必ずしも相手が「この人は私のことを理解してくれている!」と思うとは限りません。
しかし、当たっているのは間違いないのでそこに友達がいれば「そう!そういうとこある!」というように援護射撃をしてくれるのです。