共感してあげて欲しい
ファッション・メイク・立ち振る舞い。
女性は「可愛くなる」ために膨大な労力を消費しながら生きていることは間違いありません。
メイクだけとっても平均して1日15分から30分。メイク落としの時間や保湿なども考えればゆうに1日1時間くらいはかかってしまいます。これだけでも女性は人生の5%弱の時間を「可愛くなる」ことに費やしている計算になりますが、もちろん他にも「可愛くなる」ためにかけてる労力はいくらでもあるでしょう。
とは言え、それだけ労力をかけていても、その労力が報われている女性はそこまで問題はないのです。
問題なのは、それだけ労力をかけているのに、その努力が全く報われていない女性たち。
一生懸命メイクをして、頑張って洋服を選んで、可愛いと言ってもらえるように立ち振る舞いに気をつけて。
それでも「可愛い」と言われることもなく、可愛いことで得られるメリットを享受することもない。
そんな女性は「可愛い」と言ってほしくて「ブスすぎて辛い」と言ってるのでしょうか?
もちろんその側面がないとは言いません。ですので「ブスすぎて辛い」と言っている女性に対して「そんなことないよ」と言うことが悪いと言うつもりはないのです。
ですが、おそらくそう言った女性が真に望んでいることは「理不尽さ」を認めてあげること。
一生懸命頑張ったのに報われない、という理不尽さに疲れてしまったからこそ、彼女たちは「ブスすぎて辛い」と言ってしまうのではないでしょうか?
※ただしイケメンに限る
「※ただしイケメンに限る」という言葉が御座います。
顔に自信がなくモテない男性が使う言葉ですが、この言葉を言っている男性に対して「男は顔じゃなくて中身だよ!」と仰る女性がいらっしゃいますが、こんなことを言ったって彼らの心に届くはずもありません。
それが事実かどうかなんていうことはどうでもいいのです。
「※ただしイケメンに限る」という言葉を使っている男性は、これまでの人生で何度も何度も「※ただしイケメンに限る」という状況に直面してしまった。それが客観的に見れば「顔じゃなくて内面の問題だろ……」というような状況であったとしても、本人が「※ただしイケメンに限る」と感じてしまっている以上、彼らにとってはそれが事実なのです。
だいたい彼らだって薄々は「※ただしイケメンに限る」ではなく自分の内面に問題があるということくらい理解はしているのです。ですが「自分の内面に問題がある」と自分で認めてしまってはあまりにも生きていくことが辛すぎる。だからこそ彼らは「※ただしイケメンに限る」と言って外見のせいだ、と言っているのです。
確かにそれは「逃げ」でしょう。ですがその「逃げ」を認めないのはあまりにも厳しすぎる。人間誰しも「人のせい」にしたい時があるのです。
もちろんだからと言って「※ただしイケメンに限る」という言葉で人を傷つけていい、というわけではなありませんが誰を傷つけることもなく「※ただしイケメンに限る」と愚痴を言っているだけの男性に「内面に問題があるんだよ」と追い込むことが正しいとは私は思いません。
「ブスすぎて辛い」と言われたら
「ブスすぎて辛い」と仰る女性についても同じことが言えるでしょう。
女性の価値が「内面」と「外見」のどちらにあるのか、なんていう議論はどうでもいいのです。重要なのはその女性が「ブスすぎて辛い」と感じてしまっているということ。それはつまりその女性にとっては「可愛くあることは重要」なのです。
そんな女性に対して「〇〇ちゃんは性格が良いから大丈夫だよ!」という言葉をかけるのは「※ただしイケメンに限る」と言っている男性に対して「男は内面だよ」と言っているのとそこまで変わりません。
同性から「男は内面だよ」と言われるのであれば、相手の男性もそこまで怒ることもありません。しかし、女性から「※ただしイケメンに限る」と言われてしまったらそれは決して納得が出来ないのです。
何故ならば、彼らが「※ただしイケメンに限る」と感じてしまった出来事の加害者は得てしていつも「異性」だから。
異性から大切に扱われないからこそ、彼らは「※ただしイケメンに限る」と思い込むようになってしまったのです。それなのに異性から「男は内面だよ」なんて言われた日には憎しみにも近い感情を抱いてしまうことでしょう。
女性の場合も同じ。
女性が女性に「女の子は内面が大事だよ」と言う分にはそこまで大きな問題は御座いません。何故ならばその女の子が「ブスすぎて辛い」と悩むようになってしまった加害者は男性だから。
しかし、私は男性です。男性である私が「ブスすぎて辛い」と言っている女性に対して「女の子は内面が大事だよ」と言っても、その言葉は決して届かない。
それどころかその言葉は、これまでの「可愛くあることへの努力」を否定した上、相手に対してさらに頑張れと言っていることに他なりません。もしも女の子が内面であるのならば、それを言われた女性は外見だけではなく内面まで悪いから、異性から大切にされないということになってしまいます。
繰り返しになりますが事実がどうかなんていうことはどうでも良いのです。重要なのは「ブスすぎて辛い」「※ただしイケメンに限る」と言っている方に、なんという言葉をかければ少しでも幸せになるのかということ。
それを考えると、彼らにかけるべき言葉は「内面が大事」でも「可愛いよ」でも「かっこいいよ」でもなく「本当に世の中は顔ばっかりで判断しているよね」ではないかと私は思います、特に異性が相手の場合は。
彼らだって彼らなりに一生懸命「かっこよくあろう」「可愛くあろう」と思って努力をして生きてきたのです。
しかし、残念ながらそれが報われなかった。
「可愛くない」「イケメンではない」ということで、物凄く割りを食らってきた。少なくとも本人の視点では。
だからその「割りを食らってきた」ということ、それに耐えてきたことを認めてあげたい。それこそが彼らを元気付ける最も有効な手段ではないかと私は思います。
本当に男は可愛い女の子にしか優しくしないし、女はイケメンにしか惚れない嫌な世の中ですね、と。