【ご質問】
私はたまにフリーで仕事をしています。
ある時、知り合いからとても優秀で仕事を下さる方を紹介して頂きました。
その方はその分野で1位を取ったり高名な方と知り合いだったりと、私と一つしか年が違わないのにとても努力家で、素晴らしいと思います。
しかし、どうしても人柄が好きになれないというか、合わないのです。
本人が努力家で優秀な為か、それが当たり前で、優秀でない人にも当たり前に同レベルを求めてくる、自己愛が強く自慢話が多い、こちらには分からない専門用語やネットスラング等をやたら使ってくる、等々…
甘いのは分かっているのですが、私は元々態度に出やすく、つい反抗的な言葉や態度をとってしまいます。
普通の知り合いであれば合わないと思ったらさっさと離れるし、仕事上離れられない付き合いなら諦められるのですが、今回はお互いどうとでもなる関係かつ今後役に立つ相手です。
向こうにとっては私は数多くいる知り合いの一人ですが、私にとってその人はいい仕事をくれる、露悪的に言えば利用価値の高い人です。
出来れば気に入られて、もっと仕事やスキルを貰いたいと思っています。
しかし人と仲良くなる、好かれるには、相手を好きになる必要があると思います。
というわけで質問です。
好きになれない相手を好きになる、或いは好きになれない相手と仲良くなる、好かれるにはどうしたら良いでしょうか?
もし宜しければ相手を「好きじゃない」と思っている態度を出さないようにする方法があれば、それも知りたいです。
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
少し、厳しい話をしなければなりません。
正直に言えば、スキルや能力云々はともかくとして、性格的にご質問者様は「フリーで働くこと」に向いていないように感じます。
表情が態度に出やすいのも、反抗的な態度になるのも、もちろんその原因の1つですが、その程度なら「フリー」として成功することも可能でしょう。
むしろそれ以外のところに問題があるように感じました。
利用価値の高い人
今回、ご質問者様は「利用価値が高い」ということで、その優秀な方とお近づきになりたいとお考えのようですが、この世界の全ての人間は、口に出すか出さないかは別にして、自分にとって利用価値の高い相手としかお近づきになりたいとは考えません。
それもそのはず。一体どんな事情があれば「自分にとって利用価値のない相手」と一緒にいたいと願ったり、労力を支払おうとするのでしょうか。
これは友人関係であろうと仕事関係であろうと同じで御座います。
確かに利用価値という表現をすると非常に冷酷な感じがしますが、一言で利用価値と言っても、今回のご質問者様のように「仕事的な利用価値」という意味以外にも「一緒にいて楽しい」とか「安心する」とかそう言ったものも「利用価値」で御座います。
それこそボランティアでさえ「相手から感謝をして貰える」や「良いことをしたと実感できる」や「自己満足ができる」という「自分にとっての利用価値」があるからこそ、相手に対して尽くすことができると言えるでしょう。
ですのでご質問者様が、その「能力の高い人」とお近づきになりたいと願うのは至極当然の話。
ご質問者様は「露悪的に言えば利用価値の高い人」と仰っておりますが、口に出すか出さないかは別にして、この世界に全ての人間は「利用価値の高い人」としか付き合おうとしないので何もおかしなところは御座いません。むしろ「利用価値の低い人」と仲良くなりたいと言われてしまったら、これはもう私の理解の範疇を超えてしまいどうしようもありませんでした。
利用価値の低い人
さて、人間は「利用価値の高い人」としか付き合わないとお伝えさせて頂きましたが、それでは今の時点で「その優秀な方」から見た「ご質問者様」の利用価値は一体何があるのでしょうか?
ご質問文から私が読み取れた「利用価値」は1つしか御座いません。それは「その優秀な方」を紹介してくださった知人とご質問者様に交友があるということ。ご質問者様と仲良くなれば、その知人の顔色も良くなるのではないかという利用価値。ただしこれは優秀な方と知人の関係がどういったものなのかということも関係してきますので一概には言えませんが、そういった意味での利用価値はあるでしょう。逆に言えばそれ以外には特に思いつきません。
こういって何ですが露悪的にいうならば、その優秀な方の目線で今の状況を考えると「知り合いの紹介だから仕方なく人に会って見たら、なんか妙に反抗的だし喧嘩腰。それだけならまだしも、そのくせ仕事が欲しいと言ってるし、スキルも教えて欲しいと思っているらしい。何なんだこいつ。」という状況。
しかし、かなり厳しいことを言いましたが、ここまでならまだ活路は御座いました。
まだ、問題があるのです。
そしてそれこそが最大の問題であり、私が「ご質問者様はフリーに向かない」と考えた理由で御座います。
で、あなたは何ができるの?
私が今回もっとも問題に感じたのは、ご質問者様に「自分はコレを提供できる」という感覚が欠如しているということで御座います。
その最たるところがご質問文の「しかし人と仲良くなる、好かれるには、相手を好きになる必要があると思います。」という部分。
確かにこの言葉は一見するとそれっぽいですし、間違っていないこともないのですが、必ずしも正しくはありません。
女性視点で見ると「相手のことを全然好きじゃないのに、相手から好かれている」という状況。
アイドルでなくとも、いくらでもこんなシチュエーションは御座います。
このようなシチュエーションは想像に難くないかと思いますが、このことからも分かるように「相手のことを好きになる」ということは「相手に好かれるための必須条件」では御座いません。
もちろん「相手のことを好きになる必要など無い!」とお伝えするつもりは御座いませんが、もしこれが「相手のことを好きになったら、相手も自分のことを好きになってくれる」という考えになってくるとこれは危険。
このように完全にストーカーの考えでしかありません。
あくまでも「相手のことを好きになる」というのは、相手から「利用価値が高いと思ってもらう」という目的のための手段でしかないのです。相手が「好かれたい」と思っていれば、自己承認欲求が満たされるという「利用価値」などがありますが、そうでないのならば自分のことを好きでも、それがこちらの好意とは関係がありません。むしろ特に女性には「好かれると嫌いになる」という感情を持っている方も多く、こちらが好きになるかどうか、というのは手段でしかないと言えるでしょう。
今回「優秀な人」はご質問者様に「仕事」や「スキル」などを与えることが出来るようですが、ご質問者様がそれを欲するのならば、一体見返りとしてご質問者様には何が出来るのでしょうか?
何をその方に提供できるのでしょうか?
スキルを教えてもらう場合、学校で習えば学費が掛かります。
それではご質問者様はお金を払うのでしょうか?それともそれに見合う何かを提供できるのでしょうか?
仕事をもらう場合、まず根本的に「相手が得をする」ということが絶対的な条件になります。
ご質問者様に仕事を依頼した場合、料金以上の成果を残してくれるのでしょうか?それとも他の人を圧倒するクオリティでもあるのでしょうか?はたまた見返りとして、何か美味しい仕事を発注できるのでしょうか?
一応、マンガ業界の片隅にいる身としてお話をさせて頂くと、漫画家は「友人」からタダで結婚式などのボードを依頼されることもあるようですが、よほど仲の良い相手の場合を除き漫画家は良い顔をしません。ご質問者様もフリーで働いているのですから、この理由はわかると思います。
今、ご質問者様がその「優秀な方」に大して画策していることは、ほぼこれです。
その「優秀な方」にとって何一つメリットが御座いません。実利を得るために「弱者であるという情」で脅す。手段としては間違っていない気もしますが、個人的には好きになれません。
また、曲がりなりにもフリーとしてコラムや漫画原作やラブホテルの宣伝を行っている身として、ご質問者様が「フリーに向かない」と思った最大の理由をお教えします。
それは「自分が”今”何を提供できるか」という感覚が欠如しているということ。
フリーの人間は、能力がなければ、好かれた程度で仕事は貰えない。
飲み会に呼ばれることはあっても、仕事は貰えません。
その感覚が少し足りていないのではないかと感じました。
フリーで生きる
普通の人間関係であっても「利用価値」が重要なことは間違いありませんが、この「利用価値」の多くは「一緒にいると楽しい」とか「話のウマが合う」というようなものが多く金銭が発生しないことも少なくありません。しかし、特に仕事での付き合いの場合、金銭的な利用価値が大前提にあり、そのうえで好きか嫌いかで考えていると考えたほうが懸命です。
もちろんサラリーマンであっても根本的には変わりませんが、フリーであればその傾向が顕著ということ。
無能とは「能力が低い」という意味ではなく「利用価値がない」と考えると分かりやすいかもしれません。
例えばエビは「美味しい」とか「栄養価がある」という意味では能力がありますし、エビを欲しいと考える人も多いでしょう。
ですが私はエビアレルギーなので、私の視点で考えるとエビは利用価値がなく、無能ということになります。
また仕事に関して言えば「10」の仕事を熟してほしいとき「9」の仕事しか出来ない人の価値は「90%」ではなく「0%」であることも往々にして御座います。
その優秀な方からの視点では、今のご質問者様の位置は右下の黄色。
逆にご質問者様の視点から、その優秀な方の位置は右上の緑色。
ご質問者様は今、黄色から青に向かう方法を私に質問されているのですが、ご質問者様がフリーとして生き、フリーとしてその相手と付き合うのであれば青になる意味は全く御座いません。
この図では「そんなに」と書かせて頂きましたが、正直なところ「全く」でも構わないのです。大好きだけど医師免許を持ってない人に手術を頼む人はいないのと同じでしょう(BJを除く)。
もちろん最終ゴールは「赤(有能かつ好かれている)」なのですが、今の時点は「青」ではなく「緑(嫌われてるけど有能)」を目指すと良いでしょう。つまり、ご質問者様と一緒にいることで、その優秀な方はどんなメリットがあるのか。それを考えなければどれだけ好かれようとも意味がありません(ただし、好きも度を過ぎれば武器になります。ほぼ枕営業みたいなものですが)
なお基本的に「ご質問者様に好かれる」ということは、その優秀な方からすればメリットでも何でもないと思ったほうが良いでしょう。もちろんメチャクチャに話のウマが合うとか、超絶美人とかならメリットが有ると言えますが、そうではないのならばその優秀な方からすれば何のメリットも御座いません。
質問
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