8月32日 夏休みの宿題は”まだ”終わらない
「8月32日」
この言葉を聞いて”物凄く有名なバグ”を思い出した方も少なくないのではないでしょうか?
「8月32日」とは、名作「ぼくのなつやすみ」のPS版で発生するバグ。
特殊な操作を行うと”あるはずのない8月32日”に日付が進み、とんでもなく怖いトラウマレベルの出来事が発生します。
気になる方は是非ご自身の目でお確かめくださいませ、ちなみにこのバグはPS版でしか発生しませんのでご注意くださいませ。
さて、本題に入りましょう。
皆様は「夏休みの宿題」をいつやるタイプの子供でしたでしょうか?
前半に終わらせてしまう方
コツコツやる毎日こなす方
終盤に一気に終わらせる方
もちろん終わらせれば、どんなペースでやっても構わないのですが、ここで重要なこととして「一体なぜ、宿題を終わらせること」が出来るのでしょうか?
それは端的に言って「期限」があるからにほかなりません。
もしも夏休みが8月31日で終わらずに、永遠続くものだったら誰もが必ずこう言うのです。
「明日でいいや」と。
人間は「期限がない宿題」を終わらせることが出来るほど優秀な生き物では御座いません。
ですので8月31日の次に8月32日が来る世界であった場合、誰1人として宿題を終わらせたりはしないのです。
私たちが宿題を終わらせることが出来るのは「9月1日まで」に終わっていないと怒られるという”期限”と”罰”が明確に存在するから。
期限がない結婚は果たされない
日本において、つい20年ほど前までは「結婚」の”期限と罰”が明確に存在しました。
期限は時代によって多少の変化はあるものの、だいたい25から28歳前後。
その歳を過ぎて結婚するのは極めて難しく、事実上の期限があったと言えるでしょう。
そして罰。
これも簡単で「お前は行き遅れだ」「結婚もしない女は半人前!」というように罵倒されるという罰が御座いました。
それが良いことか悪いことかという話をしたいわけでは御座いません。
私は、今日の社会には「結婚の期限」も「結婚しないことへの罰」も極めて少なくなってしまっている、ということをお伝えしたいのです。
そんな状況で結婚に踏み込むはずがありません。誰もがそんな面倒な仕事は「明日でいいや」と先送りにするのです。
俳優志望の男の悲劇
私の知人に俳優として生計を立ててる方がいらっしゃいます。
その方は有名とは言わないものの、最低限俳優として飯が食えるくらいには成功している方なのですが、その方が仰っていた話をご紹介させて頂きましょう。
俳優志望の男にとって、最も不幸なことは”50代で目が出る男がいる”ということだ。
女優志望の女にとって、最も幸福なことは”30代以降にチャンスはない”ということだ。
俳優を志す方は男女問わず無数に存在しますが、良くも悪くも厳しい世界、その世界で食える人間などごく一部に過ぎません。
しかし、夢を抱く目が出ていない若者にとって、50代で急にブレイクした俳優の存在は勇気付けられるものでしょう。
「自分も頑張っていれば、50代で俳優として大ブレイクするかもしれない」
そんな希望を抱いて、俳優になるための努力を続け、そしてその多くはそのまま死にます。
私が非常に好きな西洋のことわざに「地獄への道はいつも善意で舗装されている」というが御座いますが、まさにその通り。
もし「25歳を過ぎたら、絶対に目が出ない」というルールでもあれば、彼は25歳で夢を諦めることが出来るのです。
しかし「いつかきっと目が出るよ!50代で成功した人もいるんだから!」という善意の言葉が彼の退路を断ち、絶望へと叩き落とす。
その点で女優は幸福なようです。どんなに遅くとも30で目が出なければ切られる。夢を追って死ぬことがないのです。