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卑下と謙遜の違い

褒められたらどうするべきか?

私の振る舞いは、周りからは「変わっている」とよく言われます。

上野さんや、またコラムを見てくださっている方からどう思われるのかを知りたくなり、質問させていただきました。

その変わっている振る舞いとは、「人に褒められたら絶対謙遜しないこと」です。

理由は、それが周りとの関係を良くするために、効率的だと思っているからです。

「人を褒める」という行為は、「相手との関係、またはその場の環境を良くしたい」という思いから来ていると、私は考えています。
※お世辞だろうとそうでなかろうと。

そんな相手に対して謙遜をするのは、相手の「良くしたい」という思いを、踏み潰してその辺に捨てることと同じなのではないか、と思っています。

謙遜は行き過ぎると自虐になりますし、自虐になれば、相手は「フォローしなくちゃ」という思いが生まれ、負担になるでしょうから、謙遜から得られるものは何もないと思うのです。

ですので、相手に褒められたときには、謙遜せずに、素直にお礼を言うように心がけています。

この考え方や振る舞いは、やはり変わっているのでしょうか。

また、可愛げがないとか、打算的とか、そういう意見もあれば言っていただきたいです

謙遜と卑下は全く違う

ご質問誠に有難うございます。

今回のご質問者様は自身の対応のことを「謙遜しない」と仰っておりますが、文脈から察するご質問文で使用されている「謙遜」は「卑下」に近いものであると私は思いました。

卑下というのは自分の位置を下げて相手を立てる行為で御座いますが、これはご質問者様の仰る通り何も生み出さないと私も思います。

しかし「卑下」と「謙遜」は何が違うのか、ということはなかなか難しい問題であり言葉で表現することが出来ない方も多いのではないでしょうか?

今回はその2つに「傲慢」と「謙虚」を加えた4つの対応がそれぞれどのようなものなのかということを解説させて頂きたく思います。

ちなみにご質問者様が普段されている対応は、この4つの分類で考えると「謙虚」でしょう。

褒める

4つの対応を考える前に、そもそも褒めるという行為についての構造を考えてみましょう。

もちろん一言で「褒める」と言っても様々な意味が御座いますが、今回は相手との関係性というところにのみ焦点を当ててお話させて頂きます。

さて、相手との関係性という観点から「褒める」という行為を捉えてみると、これは「相手の位置を上げる行為」と言えるでしょう。

相手の能力や成果を評価して相手の位置を上げる行為、これが関係性という観点から見た「褒める」で御座います。

傲慢

それでは「褒める」の簡単な説明が終わったところで「傲慢」について考えてみましょう。

傲慢は相手の褒めるによって上がった位置をさらに必要以上に上げる対応で御座います。

またこれと同時に褒めてくれた相手や、全く第三者を否定してさらに自分の位置を上げようとする方もいらっしゃいます。

いずれにしても必要以上に自分の位置を上げようとする行為であり、相手に不快感も抱かせてしまうので避けるべき対応であると言えるでしょう。

卑下

次に「卑下」

これは傲慢とは逆で必要以上に自分のことを下げる対応のことで御座います。

卑下をした場合、自分の位置が下がるので相対的には褒める側の位置が上がります。そのため謙遜と混同しやすいのですが、褒めた側の位置が上がっているのではなく褒められた側が勝手に下がっているだけ、ということに気をつけなければなりません。

それどころか褒められた際に卑下をすると、それは同時に「褒めた人間」も少なからず否定することになってしまうとすら言えるでしょう。

控えめな態度と言えば聞こえは良いですが卑下をするということは「相手が褒めた物を否定する」ということに他なりません。

例えばこんな状況を考えてみましょう。

Sさん
「ラブホの上野さん」って漫画、凄く面白いよね!
[st-kaiwa-8471]は? あの漫画ゴミじゃん[/st-kaiwa-8471]

このような会話であれば、Bさんの発言は明確にAさんが褒めた物を否定しているとご理解頂けることでしょう。

状況にもよりますが一般的にBさんのような対応は歓迎されませんし、

卑下の構造はこのような会話と変わりません。

Sさん
Bさんって人、凄く面白いよね!
[st-kaiwa-8471]は? あの人ゴミじゃん[/st-kaiwa-8471]

卑下をする方は言葉遣いこそ丁寧ですが、内容的にはこのような対応をしていると言えるでしょう。

自分の価値を下げているのは勿論ですが、自分のことを肯定した方の発言までも否定する。ご質問者様の仰る通りあまり建設的ではない対応であると私は思います。

謙虚

謙虚の意味を考えるのは少々難しいところですが、謙虚の「虚」という字に謙虚の本質があるのではないかと私は思います。

虚という漢字は「空虚」や「虚無」などの熟語で使われていることからも分かるように「なにもない」という意味合いを持っている漢字で御座います。

それではこの「なにもない」という意味合いの漢字が一体どうして「謙虚」という言葉を生み出したのでしょうか。

「なにもない」というのは準備をしていない(虚を突く、など)や価値がない(空虚、など)などの意味も御座いますが、それと同時に「偏った思い込みや驕りがない」という意味でもあるのです。

これが転じて虚には「素直(虚心坦懐など)」という意味が生まれました。

つまり謙虚の虚は「素直」という意味なのです。

相手からの褒め言葉に驕ることも卑下することもなく素直に受け取る。

これこそが「謙虚」といえるでしょう。

謙遜

最後に「謙遜」ですが、謙も遜も「他人を敬い控えめな態度を取る」という意味で御座います。

確かに「自分を低くする」という意味合いもあるのですが、卑下のように自分を下げてしまったら「他人を敬う」という謙遜の本質から外れてしまうのは避けられません。

それでは謙遜とはどのような態度のことを言うのか。

私は「褒め言葉を素直に受け入れた上で、相手のことを尊敬する」という形こそが謙遜であると考えます。

つまり褒められたことで上がった量以上に相手のことを尊敬するという構造です。

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