「〇〇どまり」という言葉
【回答】
ご質問誠に有難う御座います。
「友達止まり」「いい人止まり」という言葉は、もしかしたら言葉選び的に問題があるのではないかと私は思っております。
その問題を説明するために「〇〇止まり」という言葉の意味を少し考えてみましょう。
「いい人止まり」「友達止まり」以外で「〇〇止まり」という言葉が使われている場所を考えると、鉄道業界が思い浮かびます。
例えば東海道新幹線※1で考えてみましょう。
東京から新幹線のぞみに乗る場合「博多行き」「広島行き」「新大阪行き」の3つの行き先が御座います。
この中で「広島行き」と「新大阪行き」を便宜的に「広島止まり」「新大阪止まり」という風に表現することが御座いますが、下の図でその位置関係をご確認くださいませ。
このように東海道新幹線は東京から博多まで繋がっておりますが、その途中で止まってしまう新幹線のことを「〇〇止まり」と呼んでいるのです。
他の鉄道でもこういった表現は多く見られ「武蔵小杉止まり※2」「成増止まり※3」「小手指止まり※4」などは一部の地域の方には馴染みのある言葉でしょう。
このように「〇〇止まり」という言葉は「その先の地点」があって初めて使用できる言葉で御座います。
ところで少し話は変わりますが、東海道新幹線の始発駅である東京駅は東海道新幹線の他にも東北新幹線の始発駅でも御座います。
さて、この2つの図を出したことでお察しになった方も多いと思いますが、いわゆる「友達止まり」「いい人止まり」という言葉は本当に「〇〇止まり」という言葉を使用しても良いのでしょうか?
※1 東海道新幹線
東京と新大阪を結ぶ新幹線。新大阪から博多は山陽新幹線ですが、今回の説明では2つに分けると分かりにくいので東京から博多までを「東海道新幹線」と呼んでおります。ご了承頂ければ幸いです。
※2 武蔵小杉止まり
東急東横線の渋谷で見られる言葉。副都心線との連結で「武蔵小杉止まり」が増えたことにより、武蔵小杉より向こうに住んでいる方からのヘイトが溜まっている。
※3 成増止まり
東武東上線の池袋で見られる言葉。池袋から寄居まで繋いでいるものの、事実上小川町が終点。終電は成増止まりだが33駅(小川町)あるにも関わらず10駅目の成増が終電なことに川越市民の怒りが溜まっているらしい。
※4 小手指止まり
西武池袋線の池袋で見られる言葉。池袋から吾野まで繋いでいるものの、事実上飯能が終点。車庫の関係で小手指止まりが多い。
友達止まり・いい人止まり
おそらく「友達止まり」になってしまう男性の多くは、男女の人間関係を下の図のように考えていることと思います。
もしも男女の人間関係が図のように「他人」→「知人」→「いい人・友達」→「恋人」と発展していくのであれば、友達止まりやいい人止まりという言葉を使用しても良いでしょう。
しかし、現実的には「いい人・友達」→「恋人」というように発展することは稀で御座います。
ですので男女の人間関係は東海道新幹線型ではなく「東海道新幹線・東北新幹線型」であると考えた方が良いでしょう。
つまり電車の例で言えば「知人」が東京駅であり、「恋人」と「いい人」がそれぞれ「博多駅」と「新青森駅」ということで御座います。
そもそも「いい人鉄道」には「恋人」という終着駅が御座いません。ですので「いい人止まり」という言葉は適切ではなく「いい人行き」と表現するべきでしょう。
言葉遊びのようですがこの違いは非常に重要です。
「いい人止まり」でお悩みの方は「このまま行けば恋人になれたのに、途中で止まってしまったからいい人なんだ」と考えてしまいがちですが、そもそも乗っている電車が違うのです。この電車に乗っている限り、どれだけ進んでも「恋人駅」に到着することはないのです。
ですので、いい人止まりにお悩みの方は、まず「方向性が間違っている」ということを理解しなくてはなりません。