嫌われる前に嫌っておく
この価値観を理解する上で最も需要なこととして「自分は相手のことが好きだけど、相手は自分のことが好きじゃない」という状況だけは絶対に避けたいという感情を理解しなくてはなりません。
もちろん誰だってこんな状況は避けたいものですが、この感情が極端に強くなりすぎると良くない方向へと向かってしまいます。
そもそも人間関係を「好き」と「嫌い」の2つで考えれば
- 自分は相手が好き・相手は自分が好き
- 自分は相手が好き・相手は自分が嫌い
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が好き
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が嫌い
の4パターンしか御座いません。
もちろん最高の関係は「1」の「自分は相手が好き・相手は自分が好き」という関係であり、私たちはその関係になるために人とコミュニケーションをとっています。一方で最悪の関係は「2」の「自分は相手が好き・相手は自分が嫌い」という関係でしょう。この関係になってしまうと、相手に「裏切られた」ような関係になってしまいます。
さて、ここからが問題なのですが、人間関係の目標を定める際に「最高の関係を求める方針」を取るのか「最悪の関係を避ける方針」を取るのかで、取るべき選択が変わってくるのです。
もし「最高の関係を求める方針」ならば、自分は「相手のことが好き」という選択を取らなくてはなりません。
- 自分は相手が好き・相手は自分が好き
- 自分は相手が好き・相手は自分が嫌い
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が好き
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が嫌い
自分が相手のことを好きでないと1と2の結果にならないので、最高を求めるならば相手を好きになる必要がある。
一方で、もし「最悪の関係を避ける方針」を取るのであれば、自分が「相手のことを嫌い」という選択を取れば100%最悪の関係を避けることが出来ます。
- 自分は相手が好き・相手は自分が好き
- 自分は相手が好き・相手は自分が嫌い
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が好き
- 自分は相手が嫌い・相手は自分が嫌い
自分が相手を嫌いな時点で3か4の関係になるので、最悪の関係である「2」には絶対にならない。ただし同時に最高の関係である「1」にも絶対にならない。
ですので「最悪の関係を避ける!」ということを方針にしてしまった方は、合理的であればあるほど「嫌われる前に相手を嫌う」という考え方になってしまうのです。
確かに「2」の関係を避けるということだけを考えれば「相手を先に嫌う」と選択は間違いなく最善の選択で御座います。しかし、たいていの場合、こちらが相手を嫌えば相手も自分ことを嫌うので、常に4の「お互いに嫌い合っている」という関係になってしまいます。
これこそが「嫌われる前に嫌っておく」という考え方で御座います。確かに「裏切られる」という最悪の結果は避けられるかも知れませんが、同時に100%人間関係が上手くいかない手段であるのも事実。
今回の男性も考え方としてはこの「嫌われる前に嫌っておく」という価値観に非常に近いものがあるでしょう。
つまり彼は「自分は天然だと思っていたのに、実は養殖天然だった」という状況を絶対に避けたかったのです。この状況を100%避けるためには、常に「天然のふりしなくていいから(=貴方は天然養殖です)」と言い続ける必要が御座います。
何故ならばそう言っておけば、ご質問者様が「天然」でも「養殖天然」でも、それこそ「どっちでもない」としても、最悪の結果である「自分は天然だと思っていたのに、実は養殖天然だった」という状況を避けることが出来るのです。
同性に嫌われてないなら大丈夫
今回の男性は一言で言えば「斜に構えた中学生」のような発想をしていたのでは無いかと思います。
最悪の状況を避けるという合理的な理由も確かにあるでしょうが、それと同じかそれよりも「私は君のことを見抜いていますよ」「俺は若い女に騙されない大人の男だぜ」「他のバカな男と違って、俺は演技に騙されない」というようなことを伝えたいという気持ちもあったことでしょう。要するに「カッコつけ」で御座います。
信じられないかも知れませんが、彼らは「俺みたいに女の演技をきちんと見抜けて気を使える男こそがモテるんだ」と思っているのです。
ですのでこういった男性の場合、ご質問者様がどれだけ頑張ろうとも勝手に「養殖天然認定」をしてくることでしょう。残念ながら相手の男性はご質問者様が養殖っぽいから「養殖だろ」と言っているのではなく、「養殖だろ?」と言いたいから「養殖だろ?」と言っているに過ぎません。
そのためご質問者様のお悩みである「養殖だと思われない立ち振る舞い」に関して言えば、同性の同僚から嫌われていない限り十分に達成されていると言えるでしょう。
もしその男性以外の男性社員や女性社員がご質問者様に対して「養殖だろ?」というようなことを言っておらず、女性社員から嫌われていないのであれば、社内に置ける人間関係は何も問題は御座いません。
また、ご質問者様も今回の男性に「養殖認定」をされて不快な気持ちになったことと思いますが、人から勝手に認定をされることはあまり気持ちの良いことでもないでしょう。こういった認定好きな方【※】というのは、おそらく他の社員に対しても勝手に色々と認定をしているので社内での立場も厳しいかもしれません。
【※】認定好き
今、私は「認定好きな人」認定をしていますが、その点に関して言えば直接本人に伝えていないのでお許し頂ければ幸いです。
男は天然を見抜けない見抜く必要がない
これは自論ですが、男性が天然と養殖の違いを見抜けない理由は、見抜く必要がなかったからだと思います。必要がない能力というのは進化の過程の中で失われていくものですので、男性の「養殖を見抜く力」もどこかのタイミングで失われたのでしょう。
そもそも「養殖の女性」が天然のふりをするのは間違いなく「天然の方が男性のウケがいい」と思っているからで御座います。
天然キャラを演じても何にもメリットがないのなら、養殖の女性が生まれるはずもありません。ですので間違いなく「天然の方が男性のウケがいい」と思っているのですがこの点が非常に重要です。
つまりその女性は「男性から好かれようとしている」ということ。これをやや恣意的に解釈すれば「恋愛をする気がある(自分相手とは限らないが)」「媚を売ろうとしている」「その女性から「無価値な男」と思われていない」ということになるでしょう。
天然であるのは演技であり嘘であったとしても「男性から好かれようとしている」という気持ちは嘘ではないのです。そういう意味では、私は天然な女性よりも養殖天然な女性の方が好感を持ちます。
また、男性は天然な女性は天然な女性で好きなので、天然な女性と養殖天然な女性を見分ける必要がそこまでありません。
【天然な女性】
男性から好かれようと思って天然な訳ではない。
→好かれようと思っているか分からない
【養殖天然な女性】
男性から好かれようと思って天然のふりをしている。
→間違いなく男性に好かれようとしている
人間誰しも「好かれようとしている相手」のことを好きになるのは当然ですので、この点に関して言えば「天然な女性<養殖天然な女性」かと思います。
また確かに生物学的な話では「見分ける必要性」はそこまでないのかもしれませんが、相手の女性とコミュニケーションを取る上で、女性がどちらのタイプか見分けていた方が良いのは間違いありません。