ご質問
いつも楽しくブログやマンガなど読ませていただいています。
私は4月から社会人になるのですが、お酒が体質的に飲めないことや大人数での会話が苦手なこともあり、会社での飲み会が不安です。
社会人として飲み会には参加しなくてはいけないと思うのですが、どのような立ち振る舞いを心がければいいでしょうか?
上野さんのお考えをお聞かせ願いたいです。よろしくお願いします。
回答
ご質問誠に有難う御座います。今回はお酒について焦点を当ててお答えさせて頂ければと思います。
まず何よりも「飲めないのは飲み慣れてないだけ!だから飲めば飲めるようになる!」という言葉に惑わされないことが重要で御座います。
飲めない体質は体質で仕方がありません。別に悪いことでもありませんし、体質でなくたって飲みたくない方は飲まなければいいですし、飲みたくない方に対して飲ませようとしてくる方というのは、ただの傷害犯で御座います。
ですので、もしご質問者様が体質的に、先天的にアルコールを受け付けない体であるのであれば、相手がどれほど飲ませようとしても決して飲まないようにしましょう。大げさな話ではなく、命に関わる話で御座います。
飲み会での立ち振る舞い
ところで、ご質問者様にお伺いしたいのですが、ご質問者様の家の敷地内で、明らかにおかしな不審者と出くわしたらどうなさいますか?
「ここは俺の家だ!出て行け!」と主張するのは確かに真っ当な意見で御座います。ですが、普通の人であればそんなことを言う前にまず逃げることでしょう。
このことをよく表した名言として第16代アメリカ大統領リンカーンの言葉を私はよく取り上げます。
細道で犬に出会ったら、権利を主張して咬みつかれるよりも、犬に道を譲った方が賢明だ。
たとえ犬を殺したとて、咬まれた傷は治らない。
この言葉を今回のご質問文風にアレンジするのであれば
会社で飲ませてくる社員に出会ったら、権利を主張して嫌われたり、飲まされたりするよりも、「飲め」と言われない状況に逃げ込んだ方が懸命だ。
たとえパワハラで裁判に勝ったとしても、命も時間も戻らない。
確かに会社の飲み会で飲めない人に対して「飲め飲め」と言ってくる人間はただの傷害犯で御座いますが、そんな人間と戦うと「勝とうと」「負けようと」ご質問者様には、ほとんどメリットが御座いません。
それどころか戦った時点で大きなデメリットを被ることの方が多いので、そもそもに戦わないことが何よりも重要です。
ですので今回はそう言った社員と戦うことなく「飲まずに済む方法」をいくつかご紹介させて頂ければと思います。
もちろん「すいません、俺、飲めないんで」で話が済めばそれが最も良い方法ですし、そもそもにそれで話が済まない現実がおかしいのですが、現実としてそれで済まないことがあるのですから対策をするに越したことは御座いません。
相手がたとえ悪人であったとしても、わざわざ対立をするべきではない。そんな考えに同意して頂ける、下戸のみなさまに向けたコラムだとお考え頂ければ幸いです。
本コラムの目的はあくまでも「戦いを避けて、被害を避ける」ということ。
相手が間違っているからといって、いちいち全面戦争をしていたら、たいていの場合この世界の全員を殺さないといけなくなってしまいます。独裁スイッチ理論です。ですので私は「相手が間違っていようとも、戦いを避けられるものなら避けた方がいい」という意見で今回のコラムを書かせて頂きましたのであらかじめご了承願います。
自分が戦うことで世間をより良いものにするんだ!という英雄的な思想をしている方は、おそらくご不快な思いをさせてしまいますので、ここでコラムをお読み頂くのを止めて頂くことをオススメさせて頂きます。
手段1 そもそも飲み会のない会社に入る
これが出来れば苦労はしない、というのが多くの方の本音でしょう。とは言えお酒が苦手なのであれば、どう考えても飲み会の多い業界の会社にわざわざ好き好んで入るべきではないと思います。
このように書くと「アルコールが苦手」ということが職業差別になっているのは許されるべきではない、という意見を頂くことと思います。確かに仰る通りで、そのようなことは差別なのかもしれませんが、何もわざわざ好き好んで自分の苦手な産業に入っても、本人も業界も、どちらも得をしないのであまりオススメ致しません。
これは自論ですが「正しいことが誰も幸せにしないのなら、それは正しくない」と考えている私からすると、現状ではその理屈でうまくいっているところに、わざわざ突っ込んで行って、間違っていると叫び、問題を引き起こす方は、たとえその主張が正論で正義で平等であってもあまり好きにはなれません。
もちろん、飲み会を強要するような産業に突入し、自らの力でそんな業界の悪習を断とうと考える方を止めるつもりは御座いません。しかし、それは「社会全体のため」という大きな話であればまだしも、個人レベルの視点で考えると極めて割りに合わない賭けだと思うので、出来ればやめた方がいいのではと思います。
手段2 味方を探す
例えば不幸にも飲み会が極めて多い会社に入ってしまい、なおかつ上司が「強引に飲ませてくる」上司であった場合、その上司に命令できる立場の味方を探すことをオススメいたします。
もちろん、強引に飲ませてくる上司に対して「パワハラです訴えます」と主張することは間違っていないとは思うのですが、それはあくまでも最終手段にした方が良いと私は思っています。確かに正義ですし間違ってはいないのですが、その手段をとった場合、おそらく社内での立場は極めて悪いものになるでしょう。
「おいおい、パワハラを訴えたら社内の立場が悪くなるってどんなブラック企業だよ?」という意見は極めて最もなのですが、おそらく悪くなります。正当性がなくともなるものはなるのだから仕方がないのです。
そしてそんな状況になって、それがおかしい違法だ!と戦った場合、たとえ勝ったとしてもご質問者様にとってあまりメリットがございません。端金の慰謝料をもらって、仮に会社に残ったとしても、その後、会社を辞めるまで間違いなく社内では腫れ物に触れるような扱いになります。そして今度はその腫れ物のように扱われることを差別だ、と裁判を起こしても構いませんが、それを繰り返しているような人生になることでしょう。個人的にはオススメ致しません。
そのため上司に伝えるにしても、まずは「苦手です」と伝えてみて、それでもダメなら「体質的にダメで」と伝え、それでもダメなら上司の上司に話をつけ、それでもダメなら訴えるくらいの余裕を見ても良いと私は思います。
また、話は少し変わりますが比較的ノリが良く、先輩に可愛がられていて、なおかつ酒に強い同僚がいれば、その方に頼むというのも一つの手段として有効です。
例えばご質問者様に対して「飲め飲め」というコールが来た時、その方が「いやいや先輩、ここは俺に飲ませてください。飲みたいんっすよ」という感じに助け舟を出してもらえるように頼んでおくことが出来れば、たいていの問題は解決します。
手段3 コミュ力を上げる
出来るものなら苦労しない、という手段ですが、そもそも「飲め飲め」言ってくる方というのは、「空気が悪くなる」のが何よりも嫌いなことがほとんどで御座います。
「お、飲んでるか?」の時点では、ただの挨拶みたいなものだったはずなのに、それを「ええ、まぁ」とか「飲めないんです・・・」という風に、あちらからすると「ノリ悪く」返事をしてしまうから、「飲め飲め」と言われるのです。
ですので、この時点で「いや!めっちゃ飲んでますよ!」と明るく言っとけば、ほぼ問題なくスルーされます。
確かに「飲め飲め」と言ってくる方が悪いとは思いますが、こちらがちょっと喋るだけで穏便に回避できるのであれば、そのトラブルは回避した方が極めて懸命です。
先輩「おい、お前、飲んでないんじゃないか?」
後輩「あ、さすが先輩、部下のことをちゃんと見てますね。まじ俺先輩の部下になれて幸せっす(めっちゃニコニコ)」
若いうちならこの程度でもなんとかなると思います。
「そういうノリが俺はできないんだよ」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、よほど能力ある天才でもない限り、仕事の上で「コミュニケーション」は避けて通ることが出来ません。アルコール云々の問題ではなく、特に若いうちはこのくらいのノリの演技が出来ないと、仕事の上で極めて不利に働くので練習しておいた方が無難でしょう。
手段4 飲み屋を育てる
実は私もあまりお酒が強い方では御座いません。全く飲めないというわけでもありませんが、単純にお酒を飲んでもテンションが上がるタイプではないのであまり好きではないのです。
それでは私がどうしているかと言えば、飲み会が開かれそうであったり、誰かと飲む席を用意しなくていけない時は、私が率先して店を用意するという方法で”穏便に”アルコールの摂取を回避しております。
この私が決める店というのは、私が普段から通っているお店なのですが、私が「仕事」っぽい雰囲気で来た場合、私の注文だけ「何と注文したとしても」ノンアルコールにしてもらうよう頼んでおります。
例えば、私を含め5人が仕事っぽい雰囲気で来店すると、全員が「ビール」と注文しても、4人には普通のビールが出されますが、私のだけ中身がノンアルコールビールになるように頼んでおります。私が「ビールで」と言っても、店員さんがノンアルコールビールを用意して下さります。もちろん持ってきて下さる時も「ビールです」と言って下さりますし、伝票にも「ビール」がつきます。
ちなみに「ウーロンハイ」と伝えると「少し水で薄めたウーロン茶」が、「ジントニック」と伝えると「ライムが乗ってる炭酸水」が届きます。
こういったことをお願いしているお店を何店舗か用意しておくと、極めて簡単に「飲み会」でアルコールを回避することが可能でしょう。ただし、自分で言うのも恥ずかしいのですが、こういうお願いが出来るのは、普段からそのお店に通い、お店に迷惑をかけていないから、というのも重要なことと思います。
自分がそのお店の店員だったとして、自分は「丁重にもてなす価値がある人間」か。そんなことを考えてお店に通っていると、色々と便宜をはかって下さるものです。
手段5 吐く練習をしておく
この手段は使う機会が訪れなければそれに越したことはないのですが、万が一のことを考えて練習しておいても損はないかと思います。
もちろん、体質的に飲めないご質問者様に酒を飲ませる人間が悪いのですが、殺人鬼が襲ってくる可能性があると分かっていれば誰でも武器を用意するように、そういう人間がいるのであれば万が一の時のために練習をしておくのは極めて重要でしょう。
他の誰のためでもなく、自分の命を守るために練習をしておくべきということで御座います。
その飲ませた人間を立件するためにも、まずは自分が生き残らないことには始まりません。使うことがなければそれに越したことはありませんが、万が一の場合のことを考えて練習をしておくことは極めて有効です。
手段6 誰も文句を言えないような成果を残す
これが出来れば苦労しない、という手段ですが、他を圧倒する能力と成果があれば、どれだけ強気に出ても問題ございません。
手段7 転職先を準備する
そもそも体質的に飲めないのに、飲んだら死ぬかもしれないのに、どうして強要されたくらいで飲んでしまう方がいらっしゃるのか。
これは非常に残念な話になりますが「逃げ道」がないからで御座います。
例えばご質問者様が私と居酒屋に行ったとして、私が「飲めよー」と言ったところで断ることは出来るでしょう。それは私との関係がそこまで重要ではないからで御座います。別段、私との仲が悪くなったとしてもそこまで問題はないので簡単に断ることが出来るのです。
しかし、これが会社であった場合。そして「この会社をクビになったら、生活手段がなくなる」という状況であったら、人は断ることが極めて難しくなります。ですので、そのためにも「この会社クビになっても平気や!」と言えるような状況にしておくことは、仕事をする上で極めて重要でしょう。
そのことについては下記のコラムで詳しく書いておりますので、よろしければお読みくださいませ。
手段9 飲んでふりをマスターする
私もパワハラとまでは言いませんが、あまり飲みたくない酒を飲まざるを得ない時が御座いました。
もちろん、そういう状況に陥らないようにあらかじめ手を回しておくことが最も重要なのですが、万が一そうなってしまった時は仕方がありません。「飲んでいるふり」をマスターしましょう。
私が使っていた手段を2つご紹介させて頂ければと思います。
1つ目は大勢で乾杯をする時の手段。
飲めないからと言って、乾杯の後にそのままグラスを置いてしまう方がいらっしゃいますが、とりあえずグラスに口をつけて飲むふりをするだけで「飲め飲め」と言われる確率は大きく下がります。
飲めないのは構いませんが、わざわざ「飲んでない」ということを周囲にアピールしても良いことはありません。我々が考えるべきことはいかに「飲んでる」と思わせるかということなのです。
2つ目は一気コールなどをされた時の対処法
私はそもそもに「自分が一気コールされてしまった時」のために、あらかじめジョッキに入れたウーロン茶などを用意しておくことが多いです。
万が一、自分に回ってきてしまったら「一気します」とそのウーロン茶を一気する。これで概ね回避できます。
手段10 追い込まれたら全てを捨てろ!
悪いのは「飲め飲め」と強要してくるかたである。
このことに一切の異論は御座いません。
ですが、私もあまり飲めない身ですが、飲み会で「飲め」と言われることが明らかに分かっているのに、それを上手に回避する用意をせず「それはパワハラです」と主張するだけの人間が、正直に言えば私はあまり好きではありません。
飲めない身で飲み会に行ったら、どんなトラブルが起きるかなんていうことは、ほぼほぼ予想が立つのです。ならばその予想に対して穏便に問題を解決する手段を考えることの方が、どれだけ建設的か。アルコールをろくに飲めない身ですが、私はそう思っています。
さて、最後に今回のまとめをお話しさせて頂ければと思います。
- 飲み会のない集団に入る
- 飲み会で飲まなくても何も言われない集団に入る
- 飲んでいないことがバレないまま飲み会が終わる
- 飲んでないことを空気を壊さずに伝えやり過ごす
- 空気など知るか!ぶち壊して飲まない
- 飲む
これが優先順位で御座います。
空気をぶち壊して飲まないことを主張するのは「下から2番目」の手段であるということをどうかくれぐれも御理解下さいませ。空気を壊さずに回避できるのであれば、それに越したことはありませんし、そもそもに「回避する必要すらない状況」になるのが最善なのです。
そして最後にもう一つ。
万が一、優先順位5と優先順位6しか残っていない場合、その時は決してためらってはいけません。
空気をぶち壊すことを決して恐れずに、酒を拒みましょう。